ハンバーガーヒルの戦い(作戦名:アパッチ・スノー作戦)は、1969年5月10日から20日までの11日間、ベトナム戦争中にラオス国境に近いアシャウ渓谷で行われた激戦である。丘の標高937メートルにちなみ「937高地」とも呼ばれるこの戦いには、アメリカ軍第101空挺師団の部隊と北ベトナム人民軍(PAVN)が対峙した。
両軍に甚大な被害をもたらした激戦
この戦いは、ベトナム戦争全体の中でも最も物議を醸し、犠牲の大きい戦闘の一つとして知られている。戦闘は極めて激烈で、双方に多数の死傷者が発生した。アメリカ軍はこの戦いで1,000人以上の北ベトナム兵を撃破したと主張した一方、自軍も多大な損失を被ったことを認めている。
米兵の戦死者数
アメリカ国防総省の公式記録によれば、ハンバーガーヒルの戦いで戦死したアメリカ兵は72人に上る。さらに400人以上が負傷したとされる。泥雨の中での繰り返される突撃や、ジャングルに築かれた堅固な陣地への攻撃により、兵士たちは肉体的にも精神的にも極限状態に置かれた。「ハンバーガーヒル」という通称は、兵士たちがまるでひき肉のように次々と斃れていく様子を表したものだと言われている。
今も続く論争
この戦いは、その後も長きにわたり議論と論争の的となってきた。命と資源の無駄な浪費であり、占領後まもなく丘を放棄したことから「無意味な戦い」だったと批判する声がある。一方で、北ベトナム軍がアシャウ渓谷を補給・作戦の拠点として利用することを防ぐために必要な作戦だったと擁護する見方も存在する。
いずれの立場を取るにせよ、ハンバーガーヒルの戦いはベトナム戦争における重要な転換点の一つであり、アメリカ国内の反戦世論を強める要因となった出来事として、歴史に深く刻まれている。