南アメリカの歴史

1910年にアメリカのドル銀貨は鋳造された?モルガンダラーの「空白の16年」を解説

結論:1910年に1ドル銀貨は鋳造されていない

結論からお伝えすると、1910年にアメリカ合衆国造幣局が1ドル銀貨を鋳造した記録はありません。当時のアメリカでは多様な硬貨が日々製造されていましたが、ドル銀貨だけは生産が中断されていた時期にあたります。

モルガンダラーの鋳造史と空白期間

19世紀末から20世紀初頭にかけて流通していた代表的なドル銀貨が、ジョージ・T・モルガンがデザインした「モルガンダラー」です。この銀貨は1878年から1904年まで継続的に鋳造されてきましたが、造幣局が保有する銀地金の供給が尽きたことを受けて、1904年をもって生産が一旦中止されました。

その後、第一次世界大戦中に成立したピットマン法(1918年)により大量の銀貨が溶解され、その埋め合わせとして鋳造が再開されたのが1921年です。つまり1905年から1920年までの約16年間、ドル銀貨は一切製造されていなかったことになり、1910年もこの空白期間に含まれます。

「バーバー・ダラー」という誤解に注意

チャールズ・E・バーバーがデザインしたのは、ドル銀貨ではなく10セント銀貨・25セント銀貨・50セント銀貨です。これら「バーバー貨」と呼ばれるシリーズは1892年から1916年まで鋳造され、1910年にも通常どおり製造されていました。一部の情報源では「バーバー・シルバー・ダラー」なるものが言及されることがありますが、バーバーが手掛けたドル銀貨は実在しないため、混同しないよう注意が必要です。

参考:1910年に実際に鋳造されていた主な硬貨

  • 1セント:リンカーンセント(1909年発行開始)
  • 5セント:リバティVニッケル
  • 10セント・25セント・50セント:バーバー貨
  • 金貨:2.5ドル、5ドル、10ドル、20ドルなどの各種金貨

このように1910年には小額面の銀貨や金貨は盛んに製造されていましたが、1ドル銀貨だけは生産されていませんでした。

まとめ:収集・鑑定時の注意点

1910年はモルガンダラーの鋳造が中断されていた時期であり、アメリカでドル銀貨は作られていません。ドル銀貨の鋳造が再開されるのは1921年のことです。したがって、「1910年鋳造のドル銀貨」として売り出されているコインを目にした場合は、偽物や刻印を改ざんした疑いのある品である可能性が高いため、購入や鑑定の際は十分な注意が必要です。