2001年9月11日の同時多発テロ(9.11)をきっかけに始まった「対テロ戦争」は、アメリカの海外における軍事関与を大幅に拡大させ、反テロ対策を国家戦略の中心に据えることとなりました。
海外での軍事介入の拡大
テロ攻撃の首謀組織であるアルカイダを匿っていたタリバン政権を打倒するため、アメリカはアフガニスタンへ侵攻しました。さらに2003年には、大量破壊兵器の保有を理由にイラクへの侵攻を実施しましたが、結局そのような兵器は発見されませんでした。これらの軍事作戦と、それに続く平定作戦により、中東および中央アジアにおけるアメリカ軍の存在感は飛躍的に高まりました。
国内における監視・治安対策の強化
同時に、対テロ戦争はアメリカ国内の監視体制と安全保障措置の強化をもたらしました。9.11の直後に成立した「米国愛国者法」は、情報収集や通信傍受に関して政府に広範な権限を付与しました。また、国土安全保障省(DHS)が新設され、運輸保安庁(TSA)には空港や主要交通ハブのセキュリティ強化が任されました。しかしこれらの措置は、市民の自由やプライバシー権を侵害するものだとする批判を招いてきました。
外交政策への大きな影響
対テロ戦争はアメリカの外交政策にも深刻な影響を及ぼしました。アメリカは対テロ対策を外交の最重要課題と位置づけ、目的達成のための軍事力行使を強めるようになりました。その結果、テロ支援の嫌疑をかけられたパキスタンやイランなど、一部の国々との関係は緊張状態に陥ることとなりました。
賛否両論、決着しない論争
専門家の中には、対テロ戦争が新たなテロの脅威を生み出し、潜在的な同盟国を遠ざけた結果、むしろアメリカを危険な立場に置いたと指摘する者もいます。一方で、さらなるテロ攻撃から国家を守るために必要不可欠な対応であり、講じられた措置には正当性があると主張する声もあります。対テロ戦争は容易な答えの存在しない複雑な問題であり、今後も長年にわたって議論され続けることでしょう。