南アメリカの歴史

1890年以前と以降のアメリカ移民の違いとは?徹底比較

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、アメリカ合衆国への移民は大きな転換点を迎えました。1890年を境に、移民の人数や出身地域、渡航の目的などが劇的に変化したのです。この記事では、1890年以前と以降の移民を項目ごとに比較しながら、その違いをわかりやすく解説します。

1890年以前の移民の特徴

移民の数は比較的少なかった

1890年以前のアメリカへの移民は、年間平均約25万人と比較的少ない水準にとどまっていました。当時の移民の多くは、すでにアメリカに定住していた人々と同じ出自を持つ「旧移民」と呼ばれる層でした。

出身地は北ヨーロッパ・西ヨーロッパが中心

移民の大多数は、ドイツ、アイルランド、イギリスといった北ヨーロッパ・西ヨーロッパの国々から渡ってきました。彼らの多くは言語や宗教の面でアメリカ社会になじみやすく、現地への同化は比較的スムーズだったといわれています。

移民の主な理由

最大の動機は経済的な機会の追求でした。工場や農場での仕事を求めて渡米する人が多く見られました。それに加えて、宗教の自由を求める人々や、母国での政治的迫害から逃れるために移住した人も少なくありませんでした。たとえば、1840年代のアイルランドではジャガイモ飢饉が発生し、大量の人々が新天地としてアメリカを選びました。

1890年以降の移民の特徴

移民の数が急増

1890年以降、アメリカへの移民は急激な増加を見せ、1914年には年間100万人を超えるピークを記録しました。産業革命による旺盛な労働力需要や、蒸気船の発達による大西洋横断の高速化・低価格化が、移民の増加を大きく後押ししました。

出身地は南ヨーロッパ・東ヨーロッパへシフト

移民の出身地は、北ヨーロッパ・西ヨーロッパから、イタリア、ポーランド、ロシアなどの南ヨーロッパ・東ヨーロッパへと大きく移り変わりました。こうした人々は「新移民」と呼ばれ、言語や宗教(カトリック、ユダヤ教など)、文化の面で従来の移民とは異なるため、アメリカ社会への統合にはより長い時間がかかりました。ニューヨークのエリス島を経由して入国する移民の大部分が、この時期の新移民でした。

移民の主な理由

経済的な機会を求めて渡米する人は引き続き多数存在しましたが、母国の政治的不安定や宗教的迫害から逃れるために移住する人も顕著に増えました。特に、ロシア帝国におけるユダヤ人への迫害(ポグロム)や、南欧諸国における貧困と政治混乱が、移民を促す大きな要因となりました。

まとめ:1890年前後の移民の違い

  • 人数: 1890年以前は年間約25万人程度だったのに対し、以降は急増し、1914年には年間100万人超に達しました。
  • 出身地: ドイツ・アイルランド・イギリスなどの北欧・西欧から、イタリア・ポーランド・ロシアなどの南欧・東欧へと移り変わりました。
  • 渡航理由: 経済的な機会の追求は共通していますが、以降は政治的不安定や宗教的迫害からの逃避という動機が目立つようになりました。

このように、1890年はアメリカ移民史における重要な分水嶺であり、移民の規模・出身地・動機のすべてにおいて大きな変化が見られました。この転換を理解することは、近代アメリカ社会の多様性とその形成過程を知るうえで欠かせません。