古代ローマの兵士たちが、食料をただで支給されていたのかどうか。結論から言えば、答えは「ノー」です。ローマ兵は国家から支給される手当で自らの食料を賄う必要がありました。
国家から支給された「アンノーナ」とは
ローマの兵士には、「アンノーナ(annona)」と呼ばれる手当が国家によって支給されていました。この手当は現金で支払われることもあれば、穀物やその他の物品で支払われることもありました。
たとえば、ブリテン島北部の国境線に駐屯していた兵士たちは、いわゆる「賃金」ではなく、こうした手当の形で支給を受けていました。つまり、労働の対価として定期的に給与をもらうというより、生活を維持するための支給品・手当という性格が強かったのです。
食料の調達は兵士自身の責任
重要なのは、兵士たちは自分自身の食料に対して責任を負っていたという点です。軍が毎日の食事を無料で用意してくれるわけではなく、兵士は各自で食料を購入するか、何らかの方法で入手しなければなりませんでした。
食料を入手した主な方法
ローマ兵が食料を確保する手段としては、主に次の二つがありました。
- 地元の商人からの購入: アンノーナの手当を使い、駐屯地周辺で商売をする地元の商人から食料品を買うのが一般的でした。
- 軍団内の売店の利用: 軍団(レギオン)の内部には売店が設けられており、ここでも食料を購入できました。興味深いことに、これらの売店は軍そのものではなく、民間の請負業者が運営していました。
まとめ
ローマ兵は国家からアンノーナという手当を受けていたものの、それはあくまで「手当」であり、食料そのものが無料で提供されていたわけではありません。兵士たちは支給された手当を頼りに、地元の商人や軍団内の売店から自ら食料を買い求めていたのです。近代的な軍隊のように兵站が完全に整備されていたわけではなく、兵士個人の負担と工夫に委ねられた部分が大きかったといえるでしょう。