北米の中部植民地(ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニア、デラウェア)は、多様な民族が共存することで知られていました。イギリス人以外にもヨーロッパ各地から多くの人々が移り住み、この地域ならではの文化的・宗教的な多様性を形成していきました。ここでは、中部植民地を形作った主要な非イギリス系移民グループを紹介します。
オランダ人
オランダ人は、中部植民地で最初に定住したヨーロッパ人入植者です。かつてはニュー・ネーデルラントとしてこの地域を開拓し、1664年にイギリスへ支配権を譲った後も、植民地時代を通じて強い存在感を保ち続けました。特にニューヨーク市(旧ニュー・アムステルダム)やオールバニ周辺に集中して居住していたことで知られています。
ドイツ人
ドイツ人は、中部植民地における最大の非イギリス系移民グループでした。18世紀初頭から大規模な移住が始まり、18世紀半ばにはペンシルベニアとニューヨークの人口のかなりの割合を占めるようになりました。「ペンシルベニア・ダッチ」と呼ばれる彼らは、優れた農業技術やアーミッシュ、メノナイトといった独特な宗教的伝統を通じて、地域に多大な影響を与えました。
スコットランド系アイルランド人
スコットランド系アイルランド人(スコッツ・アイリッシュ)も、中部植民地を代表する大型の非イギリス系移民集団の一つです。18世紀初頭から大量に移住を開始し、18世紀半ばまでにペンシルベニアとデラウェアの人口の中で重要な地位を占めました。彼らは主にフロンティア地域へ進出し、不屈の開拓者として西部への拡張の先駆けとなりました。
フランス人
フランス人の移民数は中部植民地では比較的小規模でしたが、与えた影響は決して小さいものではありませんでした。フランス系住民は、かつてフランス領だったルイジアナ州のニューオーリンズやミシガン州のデトロイトなどの地域に特に集中しており、毛皮交易網や地名などにその足跡を今も残しています。
スペイン人
スペイン人も同様に、移民としては少数派でありながら、北米大陸に重要な影響を及ぼしたグループでした。彼らは主にフロリダやニューメキシコといったスペイン領土に集中して定住し、建築様式、カトリック信仰、言語など、これらの地域の文化に深い刻印を残しました。
このように、中部植民地はオランダ人、ドイツ人、スコットランド系アイルランド人をはじめとする多彩な移民グループによって形作られ、後にアメリカ社会が掲げることになる多文化共生の基盤を築き上げたのです。