第一次世界大戦(1914年〜1918年)に従軍したアメリカ兵は、「ダフボーイ(Doughboys)」という愛称で広く知られています。直訳すると「パン生地の少年」という意味になり、勇猛な兵士には似合わない、どこかユーモラスな響きを持つこのニックネーム。一体なぜこんな名前で呼ばれるようになったのでしょうか?
小麦粉を積んだ船に乗って渡欧したことから?
この愛称の由来としてよく語られるのが、アメリカ兵たちがヨーロッパへ派遣される際、小麦粉(パン生地のもととなるもの)を積んだ輸送船で大西洋を渡ったという説です。「dough(生地)」との関連から、彼らは「Doughboys(ダフボーイズ)」と呼ばれるようになったとされます。
実は諸説ある「ダフボーイ」の起源
ただし、小麦粉説以外にもいくつかの有力な起源説が存在します。
- 白い粉まみれの姿説: 訓練場で砂埃や白亜質の粉を浴び、全身を白くして帰還する兵士の姿が、小麦粉をまぶしたパン生地のように見えたという説。
- 軍服のボタン説: 当時の軍服についていた真鍮のボタンが、丸く膨らんだ団子(dumpling)のように見えたことから名付けられたという説。
- 南北戦争以前からの俗称説: 実は「ダフボーイ」という言葉自体は新しいものではなく、米墨戦争(1846年〜1848年)の頃から騎兵隊員が歩兵をからかう際に使っていた古い俗称だという説もあり、将軍ジョージ・カスターも著作の中でこの言葉を使用しています。
第一次世界大戦で定着した愛称
いずれの説が正解であっても、この言葉が世界的に有名になったのは間違いなく第一次世界大戦の時代です。1917年にアメリカが参戦し、大量のアメリカ兵がヨーロッパ戦線へ送られると、新聞やポスター、行進曲などを通じて「ダフボーイ」はアメリカ歩兵の代名詞となりました。
現在でも、この時代のアメリカ遠征軍(AEF)の記念碑や記念切手には「ダフボーイ」の名が刻まれており、第一次世界大戦におけるアメリカ兵の象徴的な存在として語り継がれています。