これから、20世紀のスペインの歴史について学んでいきます。この時代に入る前に、まず世紀初頭の年表を大まかにつかみ、それぞれの歴史的な出来事がいつ起こったのかを正確に位置づけられるようにしておくことが大切です。歴史は個々の出来事の暗記ではなく、出来事と出来事のつながりを理解することで初めて深く学べるものだからです。
なぜ年表が必要なのか
20世紀初頭のスペインは、激動の時代でした。1898年の「98年の惨事」でキューバやフィリピンなど最後の植民地を失ったスペインは、国の再生(レヘネラシオン)を求める声が高まりました。1902年にアルフォンソ13世が親政を開始すると、政治的混乱、社会不安、労働運動の台頭、そしてモロッコでの戦争など、多くの課題が同時に山積みとなります。
こうした流れを正しく把握するために、何よりも有効なのが年代軸(タイムライン)です。年代軸を使えば、「何が・いつ・どのような順番で」起こったのかがひと目でわかり、後の内戦や独裁体制への道筋も理解しやすくなります。
押さえておきたい主な出来事
- 1898年:米西戦争に敗北し、キューバ、プエルトリコ、フィリピンを失う「98年の惨事」。ナショナリズムと再生主義が高まる。
- 1902年:アルフォンソ13世が16歳で親政を開始。議会政治の機能不全が深刻化する。
- 1909年:バルセロナで「悲劇的一週間」と呼ばれる暴動が発生。社会対立が表面化する。
- 第一次世界大戦(1914~1918年):スペインは中立を維持するが、経済格差や物価高騰により社会不安が拡大。
- 1917年:軍部・政治家・労働者の三重危機が同時に勃発し、立憲君主制の基盤が揺らぐ。
- 1921年:モロッコでのアヌアールの惨敗により、軍への批判が一気に高まる。
- 1923年:プリモ・デ・リベラ将軍がクーデターを起こし、独裁政権を樹立。
- 1931年:地方選挙での共和派の勝利を受け、アルフォンソ13世が退位。第二共和国が成立する。
以上のように、20世紀初頭のスペイン史は、植民地帝国の崩壊から出発し、君主制の動揺、独裁政権の登場を経て、共和制へと向かう大きな流れを持っています。まずはこの年代軸を頭に入れたうえで、次の章以降で各出来事の詳細を見ていきましょう。