ヨーロッパの歴史

絹織物の原料はどこから来るのか?シルクの正体と養蚕の流れを解説

絹織物の原料はどこから来るのか?

絹(シルク)の原料となるのは、特定のガの仲間——中でも最もよく知られている桑蚕(カイコ、学名:Bombyx mori)が作り出す「繭(まゆ)」です。カイコはカイコガの幼虫にあたり、成長の過程で体内から絹糸を分泌し、自分自身を包み込む繭を作ります。この繭は、サナギとなる蛹(よう)の時期を外敵や環境の変化から守るための防護壁として機能します。

養蚕とは?桑の葉から始まるシルクづくり

カイコを飼育して繭を採る産業のことを「養蚕(ようさん)」と呼びます。養蚕の出発点は、カイコの主食となる桑の木の栽培です。孵化したばかりのカイコには新鮮な桑の葉が与えられ、丁寧に世話をされながら育てられていきます。

糸を吐き出す「繰糸」の段階

十分に成長したカイコは、糸を吐いて繭を作る段階に入ります。このとき分泌されるのは、フィブロインとセリシンという2種類のタンパク質からなる液体で、それぞれが細い糸状の構造を持っています。これらの糸は徐々に固まって1本の細い絹糸となり、カイコは頭を8の字を描くように動かしながら、その糸で繭を編み上げていきます。

繭から糸へ、そして絹織物へ

繭が完成すると、それらは集められて熱湯で煮られます。煮ることでセリシンの接着成分が柔らかくなり、長い絹糸をほどきやすくなるのです。こうして取り出された細い糸は、数本が撚り合わせて太い糸(生糸)に加工され、最終的になめらかで光沢のある美しい絹織物へと織り上げられます。