ヨーロッパの歴史

アメリカがキューバの共産主義政権打倒を目指した秘密計画とは?「マングース作戦」の全貌

キューバ政権転覆を狙った極秘作戦「マングース作戦」とは

1960年代初頭、アメリカ合衆国はキューバのフィデル・カストロ率いる共産主義政権を打倒するために、極秘の転覆工作計画を実行しました。その計画の名称が、「マングース作戦(Operation Mongoose)」です。

この作戦は、1961年の「ピッグス湾侵攻(プラヤ・ヒロン侵攻)」と呼ばれる亡命キューバ人部隊による上陸作戦が惨敗に終わったことを受け、ジョン・F・ケネディ大統領の承認のもと、1961年11月に正式に開始されました。

作戦の目的と背景

冷戦真っ只中の当時、ソ連の影響下に入ったキューバを西半球における共産主義拡大の脅威とみなしたアメリカ政府は、カストロ政権の早期崩壊を最優先の外交目標の一つに掲げていました。

マングース作戦の主な目的は以下の通りです。

  • カストロ政権への政治的・経済的圧力の強化
  • キューバ国内での反政府組織への支援と浸透工作
  • 経済インフラや施設に対するサボタージュ(妨害工作)
  • プロパガンダ活動による世論の扇動

CIAが主導した多様な工作活動

作戦の実行主体となったのは中央情報局(CIA)です。CIAはキューバ国内に工作員を潜入させ、砂糖産業や石油施設、鉄道などへの破壊活動を展開しました。また、カストロ暗殺計画も検討・実行されたことが、後の調査委員会や議会報告で明らかになっています。

さらに、アメリカは1962年以降、キューバに対する全面的な経済禁輸措置を強化し、軍事面・経済面の両方から政権への圧力をかけ続けました。

作戦の結末と歴史的意義

しかし、マングース作戦は期待された成果を上げることができませんでした。1962年10月にはソ連がキューバに核ミサイルを配備したことで「キューバ危機」が発生し、米ソ間の緊張が極限に達します。この危機の解決過程で、アメリカはキューバへの武力侵攻を行わないことを約束し、マングース作戦を含む転覆工作は事実上縮小・終息へと向かいました。

それでもなお、アメリカとキューバの関係は長年にわたり冷え切ったまま続き、両国の国交正常化が実現するのは2015年、オバマ政権下でのことでした。マングース作戦は、冷戦期における米国の秘密工作の歴史を象徴する出来事として、今もなお多くの歴史家や研究者によって分析・議論されています。