結論から言うと、冷戦期のソ連には「大統領」という職位はほとんどの時期存在しませんでした。国家の最高指導者として君臨していたのは、ソ連共産党(CPSU)の書記長(ジェネラル・セクレタリー)です。
ソ連の政治体制と「書記長」の役割
ソビエト連邦は一党独裁制を採る社会主義国家であり、憲法上の国家元首は最高会議幹部会議長などの役職でしたが、これは主に儀礼的なものにすぎませんでした。実質的な権力を握っていたのは、党・政府・軍のすべてを統括する共産党の頂点、すなわち書記長です。西側諸国における「大統領」や「首相」に相当する存在が、この書記長だったのです。
冷戦期の主な歴代指導者
- ヨシフ・スターリン(〜1953年):第二次世界大戦後、冷戦の幕開け期に国を率いる。
- ニキータ・フルシチョフ(1953年〜1964年):「第一書記」の肩書きで指導し、キューバ危機などを経験。
- レオニード・ブレジネフ(1964年〜1982年):約18年に及ぶ長期政権で、後の「停滞の時代」と呼ばれる時期を築く。
- ユーリ・アンドロポフ(1982年〜1984年)/ コンスタンティン・チェルネンコ(1984年〜1985年):いずれも短期間の政権。
- ミハイル・ゴルバチョフ(1985年〜1991年):ペレストロイカとグラスノスチを推進し、冷戦の終結へと導く。
唯一の例外:ゴルバチョフ大統領
ソ連に「大統領」職が誕生したのは、冷戦も終わりに近づいた1990年3月のことです。ミハイル・ゴルバチョフがソ連史上初めて、そして唯一のソ連大統領に就任しました。しかし、その翌年の1991年12月にソ連は崩壊したため、大統領制はわずか約2年という短い期間で幕を閉じることになりました。
まとめると、「冷戦中のソ連の大統領は誰か」という問いに対する最も正確な答えは、「ほとんどの時期において大統領は存在せず、国はソ連共産党書記長によって率いられていた」ということになります。