西暦871年は、ヨーロッパ各地で歴史が大きく動いた年でした。イングランドではヴァイキングの侵攻が激しさを増し、後に「大王」と称えられるアルフレッドがウェセックスの王位に就きます。一方、大陸ではカロリング朝の権力争いが続き、地中海世界でも新たな勢力図が描かれ始めていました。この記事では、871年に起こった主な出来事を地域ごとに整理して紹介します。
イングランド:ヴァイキングとの攻防
871年は、イングランド史において特に重要な年とされています。デーン人(ヴァイキング)の大軍が押し寄せ、王国の命運が懸かった緊迫した情勢の中で、新しい王が誕生しました。
- アルフレッド大王の即位
兄の死を受けて、アルフレッドがウェセックス王に即位しました。彼はその後、ヴァイキングからイングランドを守り抜いた君主として「アルフレッド大王」と呼ばれることになります。 - レディングの戦いでの敗北
マーシア軍とウェセックス軍からなる連合軍が、レディングにてヴァイキング軍に敗れました。イングランド側にとって厳しい幕開けとなった一年です。 - ロンドンの陥落とアセルニーへの退却
ヴァイキングはロンドンを占領しました。アルフレッドはアセルニーへ退き、そこで新たな軍勢を再編成する時間を稼ぎます。 - ヨークの占領
ヴァイキングはノーサンブリアのヨークを占領し、同地をイングランド北部における主要拠点として確立しました。
南欧・地中海世界の動き
- シチリア島へのイスラム勢力の進出
地中海中央部の要衝シチリア島をめぐり、イスラム勢力による征服活動が展開されました。以降、島は長きにわたりイスラム勢力とキリスト教勢力の係争地となります。 - ドイツ人王ルートヴィヒのイタリア侵攻
東フランク王国のルートヴィヒ(ドイツ人王)がイタリアへ軍を進め、カロリング朝内部の勢力図はさらに複雑さを増しました。 - カイルワーンのグランドモスク完成
現在のチュニジアにあたるイフリーキヤの中心都市カイルワーンでは、壮麗な大モスク(ウクバ・モスク)が完成しました。北アフリカにおけるイスラム建築と学問の中心として、後世に多大な影響を与えています。
大陸政治とビザンツ帝国
- ロタリンギアの王位問題
ロタール2世により、シャルルがロタリンギアの王とされました。カロリング朝の親族間で領土と王位をめぐる駆け引きが続いていたことを示す出来事です。 - バテュス・リアクスの戦い
ビザンツ帝国(東ローマ帝国)軍が、異端とされたパウラキアノス派を破りました。帝国東部国境の安定につながった重要な勝利です。
まとめ
871年のヨーロッパは、まさに変革の渦中にある時代でした。イングランドではアルフレッド大王の登場が抵抗と再建の時代の始まりを告げ、大陸ではカロリング朝の分裂が深まり、地中海世界ではイスラム勢力の影響力が拡大していきます。こうした一つひとつの動きが、やがて中世ヨーロッパの骨格を形作っていくことになるのです。