紙づくりの起源:古代中国
紙づくり(製紙)の歴史は、紀元前2世紀の古代中国にさかのぼります。当初は麻などの植物繊維を原料とした粗末なものでしたが、105年には後漢の宦官・蔡倫(さいりん)が樹皮や古布などを用いた改良法を確立したと伝えられ、紙の品質と生産性が飛躍的に向上しました。
ヨーロッパ伝来以前の紙づくり:東アジアを中心に
12世紀末にヨーロッパへ伝わるまで、紙づくりは主に東アジアで発展してきました。中国をはじめ、朝鮮半島や日本でもそれぞれ独自の技術が育まれています。
特に日本では、610年頃に高句麗の僧・曇徴(どんちょう)によって製紙技術が伝えられたとされ、その後、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)といった日本固有の原料を用いた「和紙」が発展しました。
シルクロードを渡った紙:イスラム世界からヨーロッパへ
中国で生まれた製紙技術は、シルクロードを通じて西方へと徐々に広がっていきました。751年のタラス河畔の戦いを機に紙漉き職人が中央アジアのサマルカンドへ移り、8世紀にはイスラム世界で本格的な紙の生産が始まります。
バグダードやダマスカスなどで紙の生産が盛んになると、紙は書籍や公文書に広く使われるようになりました。そして12世紀、イベリア半島(現在のスペイン)を経由してヨーロッパへ伝わり、やがて全欧州へと普及していきました。
まとめ
紙づくりは紀元前2世紀の古代中国で誕生し、ヨーロッパに伝わる前は中国・朝鮮・日本など東アジアで長く営まれてきました。その後、8世紀にイスラム世界へ、さらに12世紀にヨーロッパへと伝播し、人類の知識と文化を記録する重要な基盤となったのです。