ヨーロッパの歴史

ニュルンベルク裁判が示した基本原則――「上官の命令」でも犯罪の責任は免れない

第二次世界大戦の終結後、連合国はドイツ・ニュルンベルクにおいて、ナチス・ドイツの戦争犯罪を裁く国際軍事裁判(ニュルンベルク裁判)を開廷しました。この裁判は、戦勝国による一方的な制裁にとどまらず、近代国際法における重要な基本原則を世界に示した歴史的な転換点となりました。

中核となった原則:「命令があっても個人に刑事責任がある」

ニュルンベルク裁判で表明された最も重要な原則は、「命令の有無にかかわらず、個人自身がその犯罪に対して責任を負う」という個人の責任原則です。国家や組織の一員として行為した場合であっても、本人が道徳的・法的な判断能力を持つ以上、残虐行為への加担を「命令に従っただけ」として免罪することはできない、という考え方です。

被告たちの弁明と裁判の結末

法廷では、多くの被告が「自分は上官の命令に従っただけだ」と主張し、残虐行為への関与を正当化しようとしました。しかし、裁判所はこの抗弁を退け、各人が自らの行為について自らの責任を問われるべきであると判断しました。

その結果、主要な被告のうち12名に絞首刑による死刑が宣告され、1946年10月16日に刑が執行されました。ゲーリング元帥やリッベントロップ元外相といったナチス政権中枢の人物も、例外なく処罰の対象となったのです。

後世の国際法への影響

ニュルンベルク裁判で確立されたこの原則は、その後の国際人道法と人権法の発展に多大な影響を与えました。「良心に反する命令には従う義務がない」「命令に従うかどうかは、自ら下すべき道徳的選択である」という理念は、現在の国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程などにも受け継がれており、現代の戦争犯罪・人道に対する罪の追及の礎となっています。