ヨーロッパの歴史

なぜドイツはイギリス本土に侵攻しなかったのか?「アシカ作戦」とバトル・オブ・ブリテンの真相

よくある誤解として挙げられるのが、「第二次世界大戦中にドイツがイギリス本土へ侵攻した」という話です。しかし、歴史的事実としては、ドイツはイギリス本土への地上侵攻を実行していません。ナチス・ドイツはイギリス上陸作戦を計画しており、これを「アシカ作戦(Unternehmen Seelöwe)」と呼んでいましたが、この侵攻は最終的に中止されたのです。

アシカ作戦とは何だったのか?

1940年、フランスが陥落すると、ヒトラーは西ヨーロッパで唯一抵抗を続けるイギリスの屈服を狙い、英仏海峡を渡ってイギリス本土に上陸する大規模な作戦を検討しました。これが「アシカ作戦」です。しかし、上陸作戦を成功させるためには、英仏海峡の制海権と、それを守るイギリス空軍を撃破しての制空権の確保が絶対条件でした。

代わりに起きた「バトル・オブ・ブリテン」

ドイツ軍が代わりに展開したのが、イギリスに対する大規模な航空戦「バトル・オブ・ブリテン(英独航空戦)」です。ドイツ空軍はイギリス本土への空襲を繰り返し、制空権の獲得によって上陸作戦への道を開こうとしました。しかし、レーダー網や戦闘機司令部を活用したイギリス空軍(RAF)の奮戦により、ドイツは制空権を手中に収めることができませんでした。

侵攻が実現しなかった理由

制空権の獲得に失敗したことで、ドイツ海軍の艦船や輸送船団がイギリス空軍の攻撃にさらされるリスクが高すぎると判断され、1940年秋、アシカ作戦は無期限延期となりました。結局、この作戦が再開されることはなく、事実上の中止となったのです。

まとめ

つまり、ドイツはイギリス本土への侵攻を「計画」はしましたが、実際には実行されませんでした。代わりに行われたのがバトル・オブ・ブリテンと呼ばれる航空戦であり、イギリス側がこれに勝利したことにより、ドイツによるイギリス本土への地上侵攻は歴史から消えたのです。