1936年は、両大戦間期の緊張が一気に高まった激動の年でした。ヨーロッパではファシズムの勢いが強まり、スペインでは内戦が勃発。アジアでも日本の政治が大きく動き、年末には中国の歴史を変える事件が起きました。一方で、スポーツやメディアの分野では新時代の幕開けがありました。ここでは、1936年の主要な出来事を振り返ります。
1月:ジョージ5世死去、エドワード8世が即位
1月20日、イギリス国王ジョージ5世が崩御し、長男のエドワード8世が王位を継承しました。しかし、この即位はわずか1年足らずで幕を閉じることになります。同じ月には、南ローデシア(現在のジンバブエ)がイギリスから自治権を獲得したことも注目されます。
2月:ガルミッシュ冬季五輪と日本の二・二六事件
2月6日から16日にかけて、ドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンで第4回冬季オリンピックが開催されました。
そして2月26日、日本では青年将校らによる武装蜂起「二・二六事件」が発生。東京で政府要人らが襲撃され、戒厳令が敷かれました。この事件により軍部の政治的発言力は飛躍的に強まり、その後の日本の進路を決定づける大きな転換点となりました。
3月:ラインラント進駐と広田内閣の成立
3月7日、ヒトラー率いるナチス・ドイツが、ヴェルサイユ条約で非武装地帯とされていたラインラントに軍を進駐させました。これによりヨーロッパの緊張は一段と高まります。日本では3月9日に広田弘毅内閣が成立しました。
5月:イタリアによるエチオピア併合
第二次エチオピア戦争の末、5月9日にイタリアがエチオピアを正式に併合しました。国際連盟の威信は大きく損なわれ、「集団安全保障」の限界が露呈した出来事として知られています。
7月:スペイン内戦勃発
7月17日から18日にかけて、モロコシ駐留のスペイン軍が反乱を起こし、スペイン内戦が始まりました。フランコ将軍率いる国民軍と共和国政府軍の争いは約3年間続き、ドイツ・イタリアとソ連が介入したことから「世界大戦の予行演習」とも呼ばれる悲劇となりました。
8月:ベルリン五輪――前畑秀子と孫基禎の快挙
8月1日から16日まで、ナチス政権下のベルリンで夏季オリンピックが開催されました。日本選手団も大活躍し、競泳の前畑秀子さんが女子200m平泳ぎで日本人女性初となる金メダルを獲得。さらにマラソンでは日本代表の孫基禎さんが優勝し、世界中に感動を与えました。
11月:テレビ放送と『LIFE』創刊、メディアの新時代
11月2日、イギリスのBBCが世界初となる本格的な定期テレビ放送を開始しました。同年11月23日には、アメリカで報道写真を主体とした週刊誌『LIFE』が創刊。20世紀のヴィジュアル・ジャーナリズムの原点となる存在です。映画の世界でも、チャップリンの『モダン・タイムス』が公開され、機械化社会を風刺した名作として話題を集めました。
12月:王冠を賭けた退位劇と西安事件
12月11日、エドワード8世が離婚歴のある女性との結婚を望み、王位を捨てることを表明。弟のジョージ6世が即位しました。翌12月12日には中国で西安事件が発生し、蒋介石が張学良に一時監禁されます。この事件を機に国共合作へと動いたことは、その後の日中関係を大きく左右することになりました。
まとめ:祝祭の裏で戦争への道が敷かれた年
1936年は、オリンピックという祝祭の裏で、戦争への道が着実に敷かれていった年でした。ラインラント進駐、スペイン内戦、二・二六事件、西安事件――これらの出来事は、数年後に訪れる世界規模の紛争へとつながっていきます。一方で、テレビ放送の開始や『LIFE』誌の創刊など、後世に大きな影響を与える文化的な始まりの年でもあったのです。