ヨーロッパの歴史

十字軍はどこの国で行われたのか?主な舞台となった国と勢力を解説

十字軍とはどのような戦いだったのか

十字軍は、1095年から1291年までの約200年間にわたり、主に中東地域を舞台としてキリスト教徒とイスラム教徒の間で繰り広げられた一連の宗教戦争です。

1095年、ローマ教皇ウルバヌス2世が聖地エルサレムの回復を呼びかけたことが発端とされ、以降、ヨーロッパ各国から多くの騎士や兵士が中東へ遠征しました。戦いの中心となったのは、現在のイスラエル・パレスチナ、シリア、レバノン、トルコ、エジプトなど、東地中海沿岸のレヴァント地方です。

十字軍の舞台となった主な国と勢力

1. エルサレム王国

第1回十字軍が1099年にエルサレムを占領した後に建国された十字軍国家です。エルサレムおよびその周辺地域を支配し、1291年のアッコン陥落まで約190年間存続しました。

2. 東ローマ帝国(ビザンツ帝国)

首都コンスタンティノープルを擁するキリスト教国家です。イスラム勢力の拡大に対抗するため西欧に援軍を要請したことが、十字軍遠征のきっかけの一つとなりました。ただし第4回十字軍には逆に首都を攻略されるなど、十字軍との関係は複雑でした。

3. セルジューク朝

11世紀に中央アジアから西アジアへ勢力を広げたテュルク系イスラム王朝です。1071年のマンジケルトの戦いで東ローマ帝国を破り、小アジア(アナトリア)を支配下に置いたことが、十字軍遠征の直接的な背景となりました。

4. ファーティマ朝

エジプトを本拠地とするシーア派のカリフ王朝です。十字軍の時代にはエルサレムを支配しており、第1回十字軍の攻撃対象となりました。

5. アイユーブ朝

サラディン(サラーフッディーン)が創設したスンニ派の王朝です。1187年のハッティーンの戦いで十字軍を破り、失われていたエルサレムを奪還したことで知られています。その後、第3回十字軍と対峙しました。

6. マムルーク朝

1250年にアイユーブ朝を継承し、エジプトとシリアを支配した軍人政権です。1260年のアインジャールートの戦いでモンゴル軍を撃退するとともに十字軍勢力とも戦い続け、1291年に最後の拠点アッコンを陥落させました。これにより十字軍時代は事実上の終わりを迎えます。

まとめ

十字軍は特定の一つの国だけで行われたわけではなく、東地中海沿岸の中東全域を舞台に、エルサレム王国などの十字軍国家と、東ローマ帝国、さらにセルジューク朝、ファーティマ朝、アイユーブ朝、マムルーク朝といったイスラム諸勢力が複雑に交錯しながら戦った、長期に及ぶ宗教戦争でした。