バトル・オブ・ブリテンは、第二次世界大戦中の決定的に重要な航空戦であり、イギリス本土上空の制空権をめぐって、イギリス空軍(RAF)とドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)が激突した戦いです。この戦役には、ドイツ語で「エクスペルテン(Experten=専門家)」と総称される、非常に高い技量を持つ戦闘機パイロットたちが多数参加していました。ここでは、この時期に活躍した、あるいは後に名を馳せたドイツの代表的なエースパイロットたちを紹介します。
1. エーリッヒ・アルフレート・ハルトマン(Erich Alfred Hartmann)
ハルトマンは史上最も成功した戦闘機パイロットと広く評価されており、第二次世界大戦を通じて352機という空前絶後の撃墜記録を打ち立てました。その大部分は東部戦線での戦果です。主にメッサーシュミットBf 109を駆った彼は、バトル・オブ・ブリテン当時はまだ若手パイロットでしたが、対ソ戦において圧倒的な活躍を見せることになります。
2. アドルフ・ガーランド(Adolf Galland)
数々の勲章に輝いたルフトヴァッフェの将軍であり、屈指の戦闘機パイロットでもあったガーランドは、第二次世界大戦中に104機の撃墜を記録しました。バトル・オブ・ブリテンでは戦闘航空部隊の指揮を執り、その後は戦闘機隊総監としてドイツ空軍の戦闘機部門全体を統率する立場に就きました。
3. ヴェルナー・メルダース(Werner Mölders)
メルダースもまた著名なルフトヴァッフェのエースで、通算115機の撃墜が認められています。バトル・オブ・ブリテンの初期段階に参戦した後、主戦場を東部戦線へと移し、そこで多くの戦果を積み上げました。
4. ギュンター・ラール(Günther Rall)
ラールは第二次世界大戦中に275機の確認撃墜を重ね、「シュタールヘルム(Der Stahlhelm=鉄兜)」の愛称で知られました。バトル・オブ・ブリテンにも参加しましたが、本領を発揮したのは戦争後半の東部戦線においてでした。
5. ヨハネス・ヴィーゼ(Johannes Wiese)
ヴィーゼは133機の撃墜を記録した実力ある戦闘機パイロットです。バトル・オブ・ブリテン期にも従軍しましたが、最大の戦果は、その後のドイツ本土防空戦や東部戦線での交戦の中で挙げたものでした。
6. ハンス・ヨアヒム・マルセイユ(Hans-Joachim Marseille)
マルセイユは158機の撃墜を誇る名手で、その戦果のほとんどは北アフリカ戦線で挙げたものです。バトル・オブ・ブリテンへの直接の参戦経験こそないものの、類まれな射撃技術と卓越した操縦技能により、ドイツ航空史における特筆すべき存在となっています。
まとめ
注目すべきは、これらのエースたちの大多数が、戦争後半の東部戦線や地中海戦域での戦果によって名声を確立したという点です。バトル・オブ・ブリテンには確かに優秀なドイツ人パイロットたちが参戦していましたが、「ザ・フュー(The Few)」と呼ばれるRAFの戦闘機パイロットたちが重要な勝利をつかみ取り、戦争の行方を決定的に左右することとなりました。