ヨーロッパの歴史

アドルフ・ヒトラーが権力を握るまでに何年かかったのか?

アドルフ・ヒトラーがドイツで権力を握るまでには、およそ13年の歳月がかかりました。1919年に政治活動へ足を踏み入れてから、1933年1月に首相に任命されるまでの道のりは決して一直線ではなく、挫折と再起を繰り返しながら、彼は着実に支持を広げていきました。

政治への第一歩――1919年

第一次世界大戦で伍長として従軍したヒトラーは、敗戦直後の1919年9月、ミュンヘンで小政党「ドイツ労働者党(DAP)」に出会い、入党します。当初は軍の諜報員として党内情勢を調査する立場でしたが、卓越した演説の才能が認められ、まもなく党の中心人物へと躍り出ました。

ナチ党党首就任とミュンヘン一揆の失敗

1920年、党は「国家社会主義ドイツ労働者党(NSDAP)」と改称されます。そして1921年、ヒトラーは党首の座につき、強力な指導権を持つ「総統」体制を築き上げていきました。しかし1923年11月、バイエルン州政府の転覆を狙った武装クーデター「ミュンヘン一揆」は失敗。ヒトラーは逮捕され、禁錮刑を宣告されます。獄中で口述されたのが、後に出版される『我が闘争』でした。

合法路線への転換と世界恐慌

出獄後のヒトラーは、武装蜂起ではなく選挙による政権獲得という「合法路線」へと方針を転換します。当時のナチ党は依然として小政党にとどまっていましたが、1929年に始まった世界大恐慌が状況を一変させました。数百万人規模の失業者があふれるなか、ナチ党は国民の不満と不安を巧みに吸収し、1932年の国会選挙では第1党へと躍進します。

首相就任――1933年1月30日

保守エリート層との駆け引きの末、1933年1月30日、大統領パウル・フォン・ヒンデンブルクはヒトラーをドイツ国首相に任命しました。これにより、約13年にわたる権力への道が大きな節目を迎えます。ただし、この時点での政権はまだ連立内閣であり、完全な独裁体制が確立されたのは、同年3月の全権委任法の制定や、1934年のヒンデンブルク死去後の「総統兼首相」就任を待つこととなります。

まとめ

1919年の無名の入党から1933年の首相就任まで、ヒトラーの権力掌握には約13年を要しました。失敗に終わったクーデターすら宣伝材料として活用するなど、彼は圧倒的な演説力と組織運営の手腕によって、民主主義の枠組みの内部から権力を奪取していったのです。