「移民の島」として知られるエリス島ですが、第二次世界大戦中にはまったく異なる2つの重要な役割を担っていました。本記事では、戦時下のエリス島が果たした機能について詳しく解説します。
1. 敵性外国人の収容・抑留施設
大戦中、エリス島は敵国とのつながりが疑われる人物を収容するための抑留施設として利用されました。対象となったのは、ドイツ系、イタリア系、日本系の移民や在住者で、国家安全保障上の脅威となる可能性があると判断された人々です。
島では彼らに仮設の住居が提供され、身元調査や尋問が行われました。多くの人々は、自らの立場や忠誠心が確認されるまでの間、この島で不確定な期間を過ごすことになったのです。アメリカ国内における戦時中の不安と緊張を物語る歴史の一端といえるでしょう。
2. 沿岸警備隊の基地
もう一つの役割は、アメリカ沿岸警備隊(US Coast Guard)の基地としての機能です。沿岸警備隊はエリス島の施設を活用し、隊員の訓練や巡回パトロールの調整を行い、敵による攻撃から沿岸海域を守る任務に当たっていました。
ニューヨーク港という戦略的に重要な位置にあるエリス島は、港湾防衛の拠点として理想的な場所でした。当時、ニューヨーク港は兵員や物資をヨーロッパ戦線へ送り出す主要な出航地でもあったため、その警備は極めて重要だったのです。
戦後のエリス島の歩み
第二次世界大戦が終結すると、エリス島は再び本来の役割である移民取扱所としての機能を取り戻しました。しかし、1924年の移民法改正以降、移民の数は減少の一途をたどり、島は1954年に正式に閉鎖されます。
その後、長い年月を経てエリス島は改修され、現在ではアメリカ合衆国への移民の歴史を伝える博物館(エリス島移民博物館)として生まれ変わりました。約1,200万人もの移民が新天地への扉を開いたこの島は、今もなお多くの訪問者が足を運ぶ歴史的なランドマークとなっています。