ヨーロッパの歴史

イギリスはスペイン無敵艦隊に対して何門の大砲を保有していたのか?

「イギリスはスペイン無敵艦隊の際に大砲を一切持っていなかった。大砲は1854年まで存在しなかった」という主張を目にすることがありますが、これは明確な誤りです。

火器の歴史と無敵艦隊の時代

火薬兵器は13世紀頃に中国で誕生し、14世紀にはヨーロッパにも伝わっていました。15世紀末には艦船への大砲搭載が一般的になり、16世紀の海戦はすでに砲撃戦が中心となっていました。スペイン無敵艦隊との戦いが行われたのは1588年ですから、当時のイギリス海軍が大砲を装備していなかったということはあり得ません。1854年はクリミア戦争の年であり、火器の発明とは無関係です。

1588年のイギリス海軍の火力

アルマダの戦いにおいて、エリザベス1世率いるイングランド艦隊は約200隻(王室所有の戦艦34隻前後に武装商船などを加えた規模)を投入し、総数でおよそ1,800門から2,000門程度の大砲を搭載していたとされています。

  • 主力艦にはカバリン(長射程砲)やデミカバリンなどの重砲が搭載されていた
  • 旗艦「アーク・ロイヤル」やフランシス・ドレイクの「リヴェンジ」などが有名

大砲が勝利を決めた理由

イングランド海軍は、スペイン軍の接舷白兵戦・登船攻撃の戦術に対し、長距離からの砲撃戦で対抗しました。機動力に優れた艦艇から絶え間なく砲撃を加えることで、無敵艦隊に決定的な打撃を与え、その後の嵐と相まって遠征を壊滅させました。

このように、大砲こそが1588年の勝利を左右した核心的な存在であり、「大砲はまだ存在しなかった」という説は歴史的事実に反しています。