はじめに
アメリカ大統領がどのように選ばれるのか、ご存じでしょうか?日本やブラジルのような国民が直接投票する方式とは大きく異なり、アメリカの大統領選挙は間接選挙であり、州ごとの選挙区単位で進められる点が大きな特徴です。

アメリカの政治体制
アメリカ合衆国は、民主主義と共和制を基盤とした連邦制の国家です。つまり、50の州はそれぞれ政治的な自治権を持ちながら、中央政府である「連邦(ユニオン)」の統治下に置かれています。
この体制は、イギリスからの独立を果たした13植民地の時代にその起源を持ちます。当時の各植民地は、社会や経済の面ですでに自律的に運営されており、イギリス王室にのみ従属していました。独立を達成した後、こうした実情に最も適合した統治モデルとして採用されたのが、連邦共和制だったのです。
この体制における最高位の公職が大統領であり、政府の長(行政府のトップ)と国家元首という二つの役割を兼ね備えています。では、大統領は具体的にどのような手順で選出されるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
大統領選挙の全体像
アメリカでは、有権者が候補者に直接票を投じるわけではありません。投票は間接的な仕組みになっており、選挙は大きく次の二つの段階に分かれています。
- 第一段階:予備選挙(プライマリー)
- 第二段階:選挙人団(Electoral College)による本選挙
候補者の登録と予備選挙
大統領選挙のプロセスは、春に始まります。まず候補者は、連邦選挙委員会(FEC: Federal Election Commission)に立候補を登録します。候補者の大多数は、アメリカ政治を二分する二大政党のいずれかに所属しています。シンボルが象の共和党と、シンボルがロバの民主党です。
登録を終えた候補者は、まず党内での争いに臨みます。各地の有権者が投票を行い、全国党大会(ナショナル・コンベンション)に出席する「代議員(デリゲート)」を選出します。代議員たちは大会において、本選挙に進む党の公式候補者を決定します。現在、共和党には約2,470人、民主党には約3,630人の代議員が存在します。この党大会を経て、各党からただ一人の候補者だけが、第二段階の選挙人団選挙へと進むことになります。
選挙人団による投票
全国党大会が終わると、各党の候補者は今度こそ「選挙人(elector)」と呼ばれる人々の票を競うことになります。選挙人の数は代議員よりもはるかに少なく、全米合計で538人です。この数字は、下院議員と上院議員を合わせた連邦議員の総数に一致しており、立法府の議員1人につき選挙人1人が割り当てられる仕組みです。
最も多くの選挙人を抱え、常に激戦区となるのはカリフォルニア州で、その数は合計55人に上ります。なお、当選のためには538人中過半数となる270人以上の選挙人票を獲得する必要があります。
この本選挙は、毎年11月の最初の月曜日の翌日(火曜日)に実施されることが憲法上の慣例となっています。そして、当選した大統領と副大統領の就任式は、翌年の1月20日に行われます。
まとめ
アメリカ大統領選挙は、予備選挙で党候補者を絞り込み、その後に選挙人団を通じて大統領を確定させる、二段階の間接選挙制度です。人口の多い州ほど選挙人票が多くなるため、候補者戦略にも大きな影響を与える、非常に特徴的な選挙システムだと言えるでしょう。