古代の歴史

ヤール(Jarl)とは?北欧の貴族称号の意味と北欧神話における役割

ヤール(Jarl)とは

ヤール(Jarl)は、スカンディナヴィア諸国で用いられた貴族称号で、英語の「アール(earl/伯爵)」や「デューク(duke/公爵)」に相当する地位を指します。古ノルド語では「高貴な戦士」「首長」を意味する言葉であり、ヴァイキング時代には地域を統治する有力者の称号として広く使われていました。

北欧神話に登場するヤール

北欧神話の詩『リーグの歌(リーグズトラ)』によると、ヤールは神ヘイムダルが人間の世界を巡る際に名乗った「リーグ(Ríg)」と、貴族の妻モーディル(Modir、「最良の血筋」の意)との間に生まれた息子とされています。

リーグはヤールにルーン文字やさまざまな魔法を授け、さらには鳥の言葉まで教え込みました。成長したヤールは手勢を集めて各地を征服し、エルナ(Erna)という名の貴族の娘を妻として迎えます。二人の間には11人の息子が生まれ、彼らは北欧社会における戦士階級の祖先であると伝えられています。

イングランドの「アール」との関係

イングランドにおける「アール(earl)」の称号は、デンマーク王クヌーズ大王による征服以降に定着しました。フランスの「コント(count/伯爵)」に対応する称号ですが、貴族の序列ではマーキス(侯爵)の下に位置づけられます。

当初、この称号は州(シャイア)や郡を治める総督的な役職を指すものでしたが、時代が下るにつれて実権は失われていき、19世紀には名誉称号としての性格が強まり、実際の職務を伴わないものへと変化していきました。