古代の歴史

バシ・ブズークとは?オスマン帝国の非正規騎兵部隊の実態と歴史

バシ・ブズーク(バチブズーク)とは

バシ・ブズーク(Başıbozuk)は、オスマン帝国軍に属した非正規の騎兵部隊です。正規軍ではなく、戦役の際に臨時で徴集される補助兵力として位置づけられていました。装備は規格化されておらず、実際には非常に軽装で、規律も緩やかだったことで知られています。彼らは1683年のウィーン包囲戦をはじめ、帝国の主要な戦いにも参加しました。

「壊れた頭」を意味する名称

「バシ・ブズーク」という言葉は、トルコ語で「壊れた頭(ひび割れた頭)」あるいは「悪い頭」といった意味を持つとされます。この名称が示すように、彼らは規律よりも荒々しさで知られる存在でした。

犯罪者と傭兵からなる自由部隊

バシ・ブズークは、犯罪者や傭兵によって構成された自由部隊でした。そのため、敵に対する以上に、味方であるはずの人々にとって危険な存在となることも珍しくありませんでした。

クリミア戦争(1853年〜1856年)の際、スルタンはこの非正規部隊の一団を連合国側の将軍たちのもとへ派遣しました。しかし連合国軍は彼らに対して最大限の警戒を払わねばならず、その大多数はドブルジャ地方でコレラにより命を落としたといわれています。

優れた将軍ほど活かした運用法

有能な指揮官であれば、バシ・ブズークを正面戦力としてではなく、偵察、情報収集、追撃、地形の確保といった補助的任務に投入するのが得策でした。傭兵出身の兵士にありがちな乱暴行為を考えると、こうした任務こそが彼らの荒々しさを活かせる適材適所だったのです。

クルド人による近代化への転換

後にスルタン・オスマンリーは、こうした無秩序な集団をさらに手強い部隊へと置き換えました。その方針とは、クルド人にヨーロッパ式の武装を施し、堅実な軍事教育を与えて再編するというものでした。

『タンタンの冒険』ハドック船長の口癖としても有名

「バシ・ブズーク」は、ベルギーの漫画『タンタンの冒険旅行』に登場するハドック船長のお気に入りの罵倒語のひとつとしても広く知られています。激怒するたびに口にするこの言葉は、作品ファンの間でも印象深いフレーズとなっています。