古代の歴史

ブラックスワン級スループ――英国海軍の対潜護衛を支えた名艦

ブラックスワン級スループ――英国海軍の対潜護衛を支えた名艦

強力な小型護衛艦、ブラックスワン級

ブラックスワン級(Black Swan class)は、第二次世界大戦期にイギリス海軍が運用したスループ(小型護衛艦)で、13隻が建造されました。当時の王立海軍のスループの多くが、事実上の掃海艇あるいは単純な哨戒艇として扱われていたのに対し、このクラスは他の艦とは一線を画す強力な戦闘艦でした。

興味深いことに、就役当初の艦には掃海装置が搭載されていました。しかし、これほど高価で有用な艦に掃海という二次的任務を担わせた理由は理解し難く、実際、この装備の収容に必要なスペースと重量は上部構造を圧迫し、対潜能力を著しく低下させていました。そこで、24隻が建造された改良型ブラックスワン級(Modified Black Swan class)では掃海装備が廃止され、艦は優れた対潜専門艦として完成の域に達しました。

開発の経緯 ― エンチャントレスからビターンへ

ブラックスワン級の起源は、1934年に進水したHMSエンチャントレス(Enchantress)に遡ります。この艦は掃海作業にも対応できましたが、その砲兵装は駆逐艦に匹敵する水準を備えていました。

同型3番艦にあたるHMSビターン(Bittern、1938年進水)では、大仰角の101.6mm(4インチ)高角砲3基と新型の舵取りシステムが導入されました。この配置は極めて有望であることが証明されたため、次のシリーズであるエグレット級(Egret class)3隻には同砲4基が搭載されました。しかし、わずかに大型化した程度の船体にとって、これは明らかに無理のある野心的な武装でした。

外観は先行艦たちとよく似ていたものの、ブラックスワン級はやや大型化しており、Y砲位(後部)に4連装2ポンド「ポムポム」砲を搭載しました。この装備は後に、後甲板レイアウトの改善のため撤去されています。また、20mm機関砲と40mm機関砲の供給が増加したことを受け、近接防空火力も順次強化されていきました。

設計の特徴と実戦での評価

ブラックスワン級は巨大な上部構造物を有していました。これはおそらく、安定したローリング(横揺れ)を実現し、射撃に適した対空プラットフォームとする意図によるものと考えられます。

しかし皮肉なことに、本級は対空戦闘では目覚ましい成果を挙げられませんでした。大戦中に喪失した5隻のうち4隻が航空爆撃によって沈んでいます。同じ兵装体系を採用しながら高い評価を得ていたハント級駆逐艦と異なり、本級は低速で機動性に乏しかったことが主因と見られています。

その一方で、対潜戦において本級は真価を発揮しました。特に有名なのは、ジョニー・ウォーカー大佐が座乘するHMSスターリング(Starling)が旗艦を務めた第2支援グループで、Uボート狩りの花形として数々の戦果を挙げています。また、HMSアメジスト(Amethyst)は、1949年の長江事件(アメジスト号事件)でも広く知られています。

主要諸元(ブラックスワン級)

艦級:ブラックスワン級(Black Swan class)
排水量:基準1,300トン
全長:91.30m
全幅:11.43m
喫水:2.59m
機関:ギヤード蒸気タービン2基(出力3,600馬力)、2軸推進
速力:19.5ノット
航続距離:12ノットで約14,800km
兵装:101.6mm連装高角砲3基、4連装2ポンド「ポムポム」砲1基、20mm連装対空機銃6基、対潜爆雷
乗員:士官・下士官兵あわせて180名