西暦500年から800年までの約300年間は、ヨーロッパで新たな王国が興隆し、大規模な戦争が繰り広げられ、イスラム教という新たな世界宗教が誕生した激動の時代でした。そして、この時代の締めくくりとして、カール大帝がローマ皇帝に戴冠するという歴史的転換点を迎えます。
5世紀後半〜6世紀初頭:フランキング王国の成立とメロヴィング朝
クローヴィス1世の治世(c.466〜511)
486年:スアソンの戦い。クローヴィス率いるサリ・フランク族が北ガリアのローマ残存勢力を破り、フランキング王国を建国。
486〜543年:フランク族によるガリア、ブルグント、プロヴァンスの征服、およびイタリア・スペインへの遠征。
493〜555年:イタリアに東ゴート王国が成立。
511〜558年:クローヴィスの死後、フランク王国が息子たちによって分割相続される(第1次分裂)。
6世紀:ビザンツ帝国の「再征服」と東西の対立
ユスティニアヌス1世の治世(527〜565)
533〜555年:ビザンツ帝国がヴァンダル王国(北アフリカ)、東ゴート王国(イタリア)、西ゴート王国(スペイン)の領土を巡る戦争を展開。
540〜562年:ビザンツ・ササン朝戦争(ラジカ戦争など)。
560年:アヴァール・カガン国の成立(パンノニア平原)。
560〜561年:クロタール1世によるフランク王国の一時的再統一。
561〜613年:フランク王国の第2次分裂時代。
568年:アルボイン率いるランゴバルド族が北イタリアに侵入、ランゴバルド王国を建国。
6世紀後半〜7世紀初頭:新たな勢力の台頭
570年:イスラム教の預言者ムハンマド、メッカで誕生。
578年:スラヴ諸部族がトレースおよびヘラス(ギリシャ)に侵入。
581年:楊堅(隋の文帝)が隋王朝を建国、中国を統一。
587〜613年:メロヴィング朝のテウデリク2世の生涯。
588年:突厥カガン国が東西に分裂。
591〜628年:ササン朝のホスロー2世(パルヴェーズ)の治世。ビザンツと激しく抗争。
594年:日本で聖徳太子の下、仏教が国家的保護を受ける(事実上の国教化)。
595〜598年:アヴァール・ビザンツ戦争。
599〜649年:唐の太宗(李世民)の生涯。
602〜629年:ビザンツ・ササン朝戦争(最後の大戦争)。
613〜623年:クロタール2世によるフランク王国の再統一。
618〜907年:李淵(高祖)によって唐王朝が建国、中国史上最も繁栄した時代の幕開け。
7世紀:イスラム教の誕生とアラブの大征服
622年:ヒジュラ(聖遷)。ムハンマドがメッカからメディナへ移住。イスラム暦の元年となる。
629〜751年:フランク王国の「宮宰政治」時代。王位は頻繁に変わるが、実権は宮宰(マイヨール・ドゥ・パレ)が握る。
630年:唐が東突厥カガン国を滅ぼす。
632年:ムハンマド、メディナで没。
7世紀前半〜8世紀初頭:アラブ・イスラム軍による北アフリカ、小アジア、スペイン、トランスカフカスへの大征服が始まる。
637年:アラブ軍が4か月の包囲の末、エルサレムを占領。
650〜969年:ハザール・カガン国の存在(北コーカサス・ヴォルガ流域)。
651年:アラブのカリフ・ウスマーンがササン朝ペルシアを完全征服。
658〜659年:唐が西突厥カガン国を征服。
661〜750年:ウマイヤ朝の時代。カリフ・ムアーウィヤ1世が首都をダマスカスに遷す。
660〜668年:唐と朝鮮半島の諸国(百済・高句麗)との戦争(白村江の戦いなど)。
681〜1018年:アスパルフ率いるオノグル・ブルガール人がドブルジャ地方に第一次ブルガリア帝国を建国。
680〜681年:第3コンスタンティノープル公会議(第6全地公会議)開催。単意論を異端とする。
688年:ビザンツ皇帝ユスティニアヌス2世がスラヴ人とブルガール人に対するトレース遠征を実施。
697年:ヴェネツィアでドージェ(総督)制が確立。
8世紀初頭:イベリア半島の攻防とフランク王国の防衛
711年:グアダレーテの戦い。アラブ・ベルベル連合軍が西ゴート王国を破り、イベリア半島のイスラム化(アル・アンダルス)が始まる。
722年:コバドンガの戦い。アストゥリアス王ペラヨがイスラム軍を破り、「レコンキスタ(国土回復運動)」の端緒となる。
732年:トゥール・ポワチエの戦い。カール・マルテル率いるフランク軍がアラブ軍を撃退。西ヨーロッパへのイスラム勢力の拡大を食い止める。
c.686〜741年:カール・マルテル(フランク宮宰)の生涯。カロリング家の実質的な創始者。
739年:アクロイノンの戦い。ビザンツ皇帝レオ3世がアラブ軍を破り、ウマイヤ朝の東方進出を阻止。
8世紀中盤:カロリング朝の成立と東西の均衡
714〜768年:ピピン3世(小ピピン)の生涯。カロリング朝初代国王。
750〜1258年:アッバース朝カリフ国の時代(首都バグダッド)。ウマイヤ朝を倒し、イスラム世界の黄金時代を築く。
751年:タラス河畔の戦い。唐軍がアッバース軍を破り、イスラム勢力の中央アジア・東方への拡大を阻止。製紙技術が西へ伝わる契機ともなる。
752年:教皇領(ローマ教皇の世俗領地)が成立。ピピン3世による「ピピンの寄進」。
755〜763年:安史の乱(安禄山の乱)。唐王朝が衰退へ向かう転機となる。
756年:後ウマイヤ朝(コルドバ・カリフ国)がイベリア半島で成立。
8世紀後半〜800年:カール大帝の時代と西ローマ帝国の復活
768〜814年:カール1世(大帝/シャルルマーニュ)の治世。フランク王国を最大版図に拡大。
769年:カール大帝、アキテーヌとガスコーニュを併合。
778年:カール大帝のスペイン遠征。ロンスヴォーの戦いでバスク人の奇襲を受け後衛が壊滅(『ロランの歌』の題材となる)。
787〜793年:ノルマン人(ヴァイキング)がイングランドとフランク王国北部を襲撃し始める。
787年:第2ニカイア公会議(第7全地公会議)開催。聖像崇敬が正当化され、聖像破壊論争に終止符。
796年:フリウーリ辺境伯エーリヒがアヴァール・カガン国を滅ぼし、首都リング(リング要塞)を占領。
800年:歴史的転換点
800年12月25日:ローマ教皇レオ3世がサン・ピエトロ大聖堂でカール大帝を「ローマ皇帝」として戴冠。西ローマ帝国の復活と、中世ヨーロッパの新たな秩序(神聖ローマ帝国の源流)が宣言される。