古代の歴史

アステカ遺跡国定記念物とは?|ニューメキシコ州の古代プエブロ遺産(アメリカ合衆国)

アステカ遺跡国定記念物(Aztec Ruins National Monument)は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州北西部に位置する重要な考古学遺跡です。アニマス川沿いのアステカ市にあり、コロラド州との州境から南へ約16km(10マイル)の場所にあります。1923年に国定記念物に指定され、1987年には南隣のチャコ文化国立歴史公園とともにユネスコ世界遺産に登録されました。敷地面積は約130ヘクタール(約320エーカー)におよびます。

「アステカ」の名前の由来と真の歴史

この遺跡は、初期の白人入植者がアステカ帝国に関連するものと誤って考えたことから「アステカ遺跡」と呼ばれるようになりました。しかし実際には、ここに残るのは12世紀に築かれた先住民の集落跡です。

発掘調査は1916年に始まりました。アメリカ自然史博物館のアール・H・モリス(Earl H. Morris)の指揮のもとで行われた調査により、この遺跡の正体が明らかになりました。建造したのは、南のチャコキャニオンと深い関わりを持っていた人々です。彼らは現代のプエブロ・インディアンの祖先にあたる「先祖プエブロ人(かつてはアナサジと呼ばれた)」であり、メサヴェルデ国立公園(コロラド州南西部)に関係する人々も13世紀にこの地を利用しました。集落は1300年頃に放棄されたと考えられています。

プエブロ人の暮らしと多層式住居

先祖プエブロの人々は、砂岩・泥・石を用いて建てられた多層式の共同住居「プエブロ」に暮らしていました。プエブロは無数の部屋から構成され、数百人規模の人々が生活できる大きな建物でした。上層階へは木製のはしごを使って昇降していたとされています。

遺跡のみどころ:ウェスト・ルインとグレート・キヴァ

遺跡域内には、多層の「グレートハウス」と呼ばれる大型建築物や、より小規模なプエブロが点在しています。一般公開されている西側の遺跡(ウェスト・ルイン)には、かつて500室を超える部屋があり、その多くには創建当時の木造屋根が今も残っています。出土品の数々は、先祖プエブロ人の生活の一端を垣間見せてくれます。

ウェスト・ルインの見どころとして特筆すべきは、直径約15メートルの「グレート・キヴァ」です。これは1934年にモリスによって復元されたもので、キヴァとは儀式に用いられた円形の地下構造物のことを指します。キヴァは先祖プエブロ文化において共同体の中心となる存在でした。

観光情報と周辺環境

ビジターセンターでは多くの出土品が展示されており、遺跡について学ぶことができます。また、この遺跡の西側にはアリゾナ州・ニューメキシコ州・ユタ州にまたがる広大なナバホ族保留地が広がっています。古代のプエブロ文化とネイティブ・アメリカンの歴史に触れられる、アメリカ南西部を代表する遺跡の一つといえるでしょう。