ゴシック建築とは、中世後期(10世紀〜15世紀)にヨーロッパで栄えた建築様式のことです。
教会堂、大聖堂、バシリカ、修道院といった宗教建築がゴシック建築の中心的な存在であり、そのためゴシック美術は「大聖堂の芸術」とも称されます。
中世は、神を世界の中心に据える「神中心主義(テオセントリズム)」が支配的だった時代です。その影響を受け、この時期の芸術には宗教的な色彩が強く反映されました。
5世紀から15世紀に至る長い歴史の中で、西洋美術は大きく分けて「ロマネスク様式」と「ゴシック様式」という2つのスタイルによって特徴づけられてきました。
さらにゴシック様式は、建築のみならず彫刻や絵画の分野にも広く展開しました。
ゴシック建築の代表例
ヨーロッパ各地には今なお数多くのゴシック様式の建造物が残されており、その多くはユネスコの世界遺産に登録されています。
フランス

フランス・パリのサン=ドニ大聖堂。ゴシック様式最初期の建造物の一つとされています。
スペイン

スペインのセビリア大聖堂
ドイツ

ドイツのケルン大聖堂
イギリス

イギリスのヨーク大聖堂
イタリア

イタリアのミラノ大聖堂
オーストリア

オーストリア・ウィーンの聖シュテファン大聖堂
豆知識:
ゴシック美術はフランスで誕生し、当初は「フランス様式」と呼ばれていました。現在知られている「ゴシック美術」という名称は、ルネサンス期になってから軽蔑的な意味合いで用いられるようになったものです。古典を重んじるルネサンスの人々にとって、ゴシック美術は「野蛮で異質な芸術」に映ったのです。
ゴシック建築を構成する主な要素
- 尖頭アーチ:先端が尖った形状のアーチで、ゴシック建築で最も多用されました。彫刻による装飾が施されることも少なくありません。
- アーケード(連続アーチ):柱に支えられたアーチが連続する構造で、回廊などによく見られます。
- リブ・ヴォールト:ゴシック様式の天井に最も多く用いられた凹状の構造です。交差する肋(リブ)が特徴的です。
- フライング・バットレス(飛び梁):半円アーチ状の支持構造で、高くそびえ立つゴシック建築の壁を外側から支える役割を果たしました。
- フィニアル(花形装飾):花のような形をした石製の装飾部材で、建物の外観の高い位置に取り付けられました。
- ステンドグラス:宗教的な主題が描かれた色ガラス細工はゴシック様式の象徴的存在です。光をたっぷりと内部に取り込めるため、大聖堂内装の装飾として広く活用されました。
- バラ窓(ローズウィンドウ):ステンドグラスで満たされた円形の装飾窓で、教会の正面入り口上部などに設置されました。バラの花のような形をしていることが名前の由来です。
- ガーゴイル:屋根の排水樋に設置された排水口の装飾で、動物や怪物をかたどったものが多く見られます。「夜になると命を宿し、教会を守る守護者になる」という伝説も残っています。
ゴシック建築の特徴
- 宗教的なテーマ
- 記念碑的で豪華絢爛な芸術性
- 建築物の垂直性の強調
- 鋭く尖った細身の塔
- 豊かな装飾
- 薄くて軽快な壁
- 多数の窓と扉
- 明るい内部採光
- ラテン十字型の平面プラン
豆知識:なぜゴシック建築は高く尖っているのか
ゴシック建築の建造物が非常に高く、尖った形状をしていることに気づいた方は多いでしょう。この垂直性へのこだわりには、天へ、すなわち神との近さを表現したいという宗教的な思いが込められているのです。
ブラジルにおけるゴシック建築
まず押さえておきたいのは、中世の時代にはブラジルにゴシック様式の建築物は建てられていなかったという点です。
したがって、「ブラジルのゴシック建築」と言及する際は、実際には「ネオ・ゴシック(新ゴシック様式)」を指しています。この様式は19世紀末に登場し、中世のゴシック美術に着想を得た復古様式です。

サンパウロのセー大聖堂
ブラジルには、この様式の特徴を備えた建造物が数多く残されています。主な例は以下の通りです。
- セー大聖堂(サンパウロ州)
- サントス大聖堂(サンパウロ州)
- ボア・ヴィアージェン聖母大聖堂(ミナスジェライス州)
- カラサ聖域教会(ミナスジェライス州)
- フォルタレザ大聖堂(セアラー州)
- ヴィトーリア大聖堂(エスピリトサント州)
- ペトロポリス大聖堂(リオデジャネイロ州)
- イリャ・フィスカル宮殿(リオデジャネイロ州)
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