古代の歴史

「バイキング」以前、彼らは何と呼ばれていたのか?~多様な名称の歴史~

「バイキング」という言葉が普及する前の呼び名

現在では「バイキング(Viking)」という言葉が広く使われていますが、この呼称が一般的になったのは実は比較的近年のことです。中世のスカンジナビア出身の航海者や戦士たちは、活動した地域や接触した民族によって、さまざまな名前で呼ばれてきました。

主な呼び名とその背景

ノルスマン(Norsemen)
「北方の人々」を意味する呼称で、スカンジナビア出身者全般を指す言葉として用いられました。現代でも北欧諸国の人々を表す際に使われることがあります。

デーン人(Danes)
アングロサクソン系のイングランドでは、襲来してきた北欧の人々を一括して「デーン人」と呼ぶことが多くありました。実際にはデンマーク出身者以外も含まれていたと考えられています。

ノースメン(Northmen)
西ヨーロッパ、特にフランスでは「北方から来た人々」としてノースメンと呼ばれ、これが後にフランス北部に定住した彼らの子孫「ノルマン人(Normans)」という名称の由来となりました。

ヴァラング人(Varangians)
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)では、傭兵として仕えた北欧の戦士たちが「ヴァラング人」と呼ばれました。皇帝直属の精鋭部隊「ヴァラング親衛隊」は特に有名です。

「バイキング」の呼称が定着した経緯

当時の文献にも「ヴィーキング(víkingr)」という語自体は見られますが、あくまで特定の行為や職業を指す限定的な言葉でした。今日のように「スカンジナビアの海洋民全体」を表す総称として「バイキング」が広く浸透したのは、19世紀のロマン主義時代以降のことだと言われています。

このように、同じ人々でも地域によって「ノルスマン」「デーン人」「ノースメン」「ヴァラング人」など多彩な名前で呼ばれており、それぞれの名称にはその土地との関わりの歴史が刻まれています。