HMS ロドニー(HMS Rodney)は、イギリス海軍のネルソン級戦艦の2番艦にして最終艦です。1928年に就役し、ワシントン海軍軍縮条約の制約下で設計されました。第二次世界大戦では、ノルウェー沖の海戦やドイツ戦艦「ビスマルク」撃滅作戦に参加し、大西洋の戦いにおいては輸送船団の護衛任務にも従事するなど、開戦から終戦まで第一線で活躍し続けた艦でした。
ワシントン条約との格闘から生まれた艦
ネルソン級は、第一次世界大戦で得られたあらゆる教訓を取り入れ、その後の戦艦開発の基礎を築いた存在でした。しかし同時に、条約による排水量制限という厳しい条件との兼ね合いも迫られていました。この難題に対し、設計陣は装甲と兵装を削ることなく、推進システムに出力面での妥協を求めるという選択をします。その結果が、本艦唯一の弱点とされる23ノットの最大速力でした。
主な性能諸元
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| 満載排水量 | 38,030トン |
| 全長 | 216m |
| 全幅 | 32.3m |
| 喫水 | 9.2m |
| 機関出力 | 45,000馬力 |
| 最大速力 | 23ノット |
| 航続距離 | 16ノットで約13,000km |
| 乗員 | 1,314名 |
強力な兵装体系
主砲には40.6cm(16インチ)砲を採用し、三連装砲塔3基に計9門を搭載しました。特筆すべきは、3基すべての砲塔を艦の前半部に集中配置した点です。これもまた、排水量を節減するための独創的な工夫でした。
- 主砲:40.6cm三連装砲塔3基(計9門)— すべて前方集中配置
- 副砲:15.2cm連装砲塔6基(計12門)
- 対空兵装:12cm高角砲6門、40mmポンポン砲多数
- 魚雷兵装:62.2cm魚雷発射管2基
「全か無か」思想に基づく堅牢な防御力
本艦の防御は「All or Nothing(全か無か)」の思想に基づいて設計されました。艦の生命に関わる要部には極めて重厚な装甲を施し、それ以外の部分には最小限、あるいは一切の装甲を与えないという合理主義的な発想です。
- 舷側装甲帯:330〜356mm(理想的条件下では16インチ砲弾の直撃にも耐えうる)
- 甲板装甲:最大159mm
- 砲塔基部・弾薬庫:最大381mm
- 主砲塔:最大406mm
- 戦闘指揮所:56mm
- 対損害防御装甲:102〜305mm
輝かしい戦歴と静かなる最期
第二次世界大戦中、ロドニーは数々の重要作戦に参加しました。北アフリカのモロッコおよびチュニジアにおける連合軍上陸作戦、続くシチリア上陸作戦、そして運命のノルマンディー上陸作戦においても火力支援を行っています。
最後の実戦任務となったのは、1944年末に実施されたソ連向け輸送船団の護衛でした。翌1945年末に退役し、1948年には解体され、20年にわたる艦歴に幕を下ろしました。
姉妹艦ネルソンとともに、ロドニーは当時のイギリス造船技術の到達点を体現する存在でした。両艦は第一次世界大戦の総決算であると同時に、その後の軍艦発展への確かな礎となったのです。
文:Pantelis D. Karikas(パンテリス・D・カリカス)