ロッキード・マーティン社が開発した戦略偵察機「SR-71 ブラックバード」は、航空史上もっとも驚異的な航空機のひとつとして知られています。高度26,000mを超える成層圏をマッハ3以上という速度で飛行し、ソ連軍の防空網にとっては事実上撃墜不可能な存在でした。そのため、ブラックバードは敵地であるソ連領内の情報を、事実上自由に「読み取る」ことができたのです。
圧倒的な性能を支えた先進技術
SR-71は、ロッキード社の名高い開発部門「スカンクワークス」が中心となって生み出しました。機体の大部分にチタン合金を採用し、マッハ3での飛行時に発生する空力加熱(機体表面が摂氏300度以上に達する現象)に耐えうる構造を実現しています。さらに、高高度でのエンジン始動を可能にする特殊燃料や、超音速飛行に最適化された可変式エアインテークなど、当時の最先端技術が惜しみなく投入された結果、他の追随を許さない性能を手に入れました。
わずか32機が打ち立てた世界記録
この驚異的な航空機は、合計32機しか製造されませんでした。しかし少数ながら数々の世界記録を樹立しています。運用期間中における作戦飛行は3,551ソーティ(出撃)に及び、作戦飛行時間は11,008時間、総飛行時間は53,490時間に達します。そのうちマッハ3を超える速度での作戦飛行は2,752時間、累計では11,675時間にもなり、これらの記録の多くは今日においても破られていません。
SR-71は1998年に正式に退役しましたが、その美しいフォルムと圧倒的な性能は、今なお世界中の航空ファンを魅了し続けています。以下の映像で、伝説の「ブラックバード」の雄姿をご覧ください。