古代の歴史

エジプト初代王を殺したのは誰?「暗殺」をめぐる誤解と歴史的事実

「エジプトの初代王を殺したのは誰か」という問いには、実は大きな誤解が含まれています。古代エジプトの歴史において、初代王が殺害されたという記録は一切存在しないのです。

古代エジプトの初代王とは誰か

一般に、古代エジプトの初代王とされるのはナルメル(Narmer)です。彼はおよそ紀元前3150年頃に王位に就き、上エジプトと下エジプトを統一した功績で知られています。

有名な「ナルメル・パレット」には、彼が両エジプトを支配下に置いた様子が描かれており、これが統一王朝の始まりを示す重要な史料とされています。この統一により、後世に繁栄するファラオによる王朝時代が幕を開けました。

暗殺や横死を示す記録は存在しない

ここが最も重要なポイントですが、ナルメルが暗殺された、あるいは暴力的な死を遂げたことを示す文献的・考古学的証拠は確認されていません。

古代エジプトの王権観では、ファラオは神聖な存在であり、その治世や死は公式記録において理想化されて伝えられるのが通例でした。そのため、仮に王の死に不穏な事情があったとしても、それが後世に明確な形で記録として残ることは極めてまれです。

なぜ「殺された」という説が生まれたのか

このような質問が生まれる背景には、次のような要因が考えられます。

  • 初期王朝時代の記録が乏しく、王の死因に関する確かな情報がないこと
  • 後代の王朝交代劇や陰謀の物語との混同
  • 映画や小説などのフィクションによるイメージの影響

つまり、「初代王を殺した犯人」を探しても答えは見つからない、というのが歴史学上の正しい回答となります。

まとめ

エジプト初代王とされるナルメルの殺害を裏付ける記録は存在せず、この問い自体が誤解に基づいています。彼は紀元前3150年頃にエジプトを統一した偉大な王であり、その死については詳細な記録が残っていないものの、暗殺を示す証拠もまた存在しないのです。