「高く隆起した偉大な土地」を書いたのはタスマンではない
「アベル・ヤンスゾーン・タスマンが『高く隆起した偉大な土地』を書いたとき、彼はどの地域にいたのか」という疑問がありますが、実はこの前提そのものに誤りがあります。オランダの探検家であるタスマンは、この作品の作者ではありません。『高く隆起した偉大な土地』を書いたのは、オーストラリアの詩人アンドリュー・バートン・パターソンです。
アベル・タスマンとはどんな人物?
アベル・ヤンスゾーン・タスマン(Abel Janszoon Tasman、1603年頃~1659年)は、オランダ東インド会社(VOC)に仕えた17世紀の探検家です。1642年の航海において、現在のタスマニア島(当時はヴァン・ディーメンズ・ランドと呼ばれました)やニュージーランドを、ヨーロッパ人として初めて発見したことで知られています。彼が残したのは航海日誌や海図といった記録であり、詩や文学作品を執筆した記録はありません。
本当の作者は「バンジョー・パターソン」
『高く隆起した偉大な土地』の作者であるアンドリュー・バートン・パターソン(Andrew Barton Paterson、1864年~1941年)は、オーストラリアを代表する詩人・ジャーナリストです。ペンネームの「バンジョー(The Banjo)」の名でも広く親しまれました。
代表作には叙事詩「雪河男児(The Man from Snowy River)」や「クラウンシーの溢れる小川(Clancy of the Overflow)」などがあり、オーストラリアの国民的民謡として愛される「ワルチング・マチルダ(Waltzing Matilda)」の歌詞も彼の手によるものです。現在発行されているオーストラリアの10ドル紙幣には、彼の肖像画が描かれています。
まとめ
つまり、「タスマンが『高く隆起した偉大な土地』を書いたとき、どの部分にいたのか」という問い自体が成立しないのです。この作品を書いたのは南太平洋を探検した航海者タスマンではなく、オーストラリア文学を代表する詩人パターソンでした。二人は生きた時代も国も異なり、混同されやすいものの全く別の人物です。