エジプトは古代から「下エジプト」と「上エジプト」の2つの地域に分けられてきました。一見すると名前が逆に感じられますが、これはナイル川の流れに基づいた呼び方です。ナイル川は南から北へ流れて地中海に注ぐため、河口側の北が「下」、源流側の南が「上」とされるのです。
下エジプト(デルタ地域)とは
下エジプトとは、エジプト北部のナイル・デルタ(三角州)地域を指します。カイロ近郊のデルタ頂点から地中海に至るまでの範囲で、エジプトで最も肥沃な農業地帯が広がっています。
下エジプトのおもな特徴
- 北は地中海、南はカイロ付近のデルタ頂点までが範囲
- アレクサンドリア、ベヘイラ、カフル・エッシェイク、シャルキーア、ダカフリーヤ、カリュービーヤ、ギーザなどの県を含む
- ナイル・デルタの豊かな土壌による農業が盛んで、人口密度が高い
- アレクサンドリア、ポートサイド、タンタなどの主要都市がある
上エジプト(ナイル河谷)とは
上エジプトは、カイロより南の地域で、ナイル川沿いにスーダン国境まで続く細長い河谷地帯です。ルクソールやアスワンなど、古代エジプト文明の遺跡が数多く残る歴史的な土地として知られています。
上エジプトのおもな特徴
- カイロの南からスーダン国境までナイル川沿いに広がる
- ベニースエフ、ミニヤー、アシュート、ソハーグ、ケナー、ルクソール、アスワン、そして新谷県(ワーディー・アル=ゲディード)などの県を含む
- 古代神殿や王家の墓など、貴重な歴史遺産が集中している
- ルクソール、アスワンなど観光の拠点となる都市が多い
まとめ
「上」「下」という名称は地理的な南北ではなく、ナイル川の流れ(上流・下流)に由来しています。北のデルタ地帯が下エジプト、南の河谷地帯が上エジプトであり、それぞれ農業と歴史遺産という異なる魅力を持つ地域です。古代エジプトではこの両地域が統一されて最初の王朝が誕生したとされ、ファラオの二重王冠もこの統一を象徴しています。