古代の歴史

戦車を発明したのは誰?――第二次世界大戦以前、第一次世界大戦で誕生した「鉄の要塞」の起源

「第二次世界大戦で使用された最初の戦車を発明したのは誰か」という問いには、実は一つの重要な訂正が必要です。戦車は第二次世界大戦中に発明されたものではありません。戦車が初めて実用化されたのは、それより約20年早い第一次世界大戦(1914〜1918年)においてです。

なぜ第一次世界大戦で戦車が必要とされたのか

第一次世界大戦の西部戦線は、塹壕(ざんごう)と有刺鉄線に守られた陣地同士の消耗戦となり、両軍とも決定的な打開策を欠いていました。機関銃の火力の前では歩兵の突撃は大きな犠牲を伴い、「塹壕を越え、鉄条網を踏み潰し、敵の機関銃座を制圧できる装甲車両」への期待が高まりました。

戦車の発明者たち

最初の実用的な戦車の開発は主にイギリスで進められました。中心人物として次の二人が挙げられます。

  • アーネスト・ダンロップ・スウィントン(Ernest Swinton):イギリス陸軍の将校であり、装甲を施した履帯式車両による塹壕突破という構想を提唱しました。
  • ウィリアム・トリットン(William Tritton):フォスター社の技師長で、ウォルター・ゴードン・ウィルソンとともに世界初の試作戦車「リトル・ウィリー」や、実戦投入された最初の戦車「マークI」を設計しました。

この計画は当時「陸上艦(ランドシップ)」と呼ばれ、海軍大臣だったウィンストン・チャーチルらの後押しもあって秘密裏に推進されました。1916年9月15日、フランスのフルール=クールスレットの戦いでマークI戦車が史上初めて実戦使用され、戦争の姿を大きく変えることになりました。

フランスにおける独自の戦車開発

イギリスとほぼ時を同じくして、フランスも独自に戦車を開発していました。シュナイダーCA1やサン=シャモン突撃戦車に続き、ルノーFTは回転砲塔を車体上部に備えた現代戦車の基本形を確立し、その設計思想は今日の戦車にも受け継がれています。

まとめ

つまり、第二次世界大戦で猛威を振るった戦車の原型は、第一次世界大戦の塹壕戦という絶望的な状況の中から生まれたのです。イギリスのスウィントンの構想とトリットンらの技術力、そしてフランスの革新的な設計が組み合わさることで、「戦車」という兵器は歴史の表舞台に登場することになりました。