エクソダスターとは?
「エクソダスター(Exodusters)」とは、1879年から1881年にかけて、アメリカ合衆国南部からカンザス州やオクラホマ州など西部諸州へと移住したアフリカ系アメリカ人たちを指す言葉です。彼らは南部で直面していた人種差別や暴力から逃れ、西部でより良い生活を求めて新天地へと旅立ちました。
用語の由来:旧約聖書の「出エジプト記」
この名称は、旧約聖書の「出エジプト記(エクソダス)」にちなんでいます。出エジプト記では、イスラエルの民がエジプトでの奴隷状態から脱し、自由を求めて約束の地へと旅立ちました。抑圧された南部から脱出し、希望に満ちた土地を目指した移住者たちの姿が、この聖書物語になぞらえられたのです。
なぜ彼らは西部へ向かったのか
南北戦争後の南部では、再建時代(レコンストラクション)の終焉とともに、アフリカ系アメリカ人への差別や暴力が激化していました。白人至上主義団体による脅迫やリンチ、小作制度による経済的搾取などが、彼らを南部からの脱出へと駆り立てました。
一方、西部、とりわけカンザス州は「自由の土地」として知られていました。1862年の自営農地法(ホームステッド法)により、無料または安価で土地を取得できる可能性があったことも、移住の大きな動機となりました。
指導者たちと移住の実態
この大規模な移住運動には、ベンジャミン・“パップ”・シングルトンらの指導者が大きな役割を果たしました。彼は「カンザスの父」と呼ばれ、南部各地で移住を促進しました。1879年だけでも数万人規模のアフリカ系アメリカ人がミシシッピ川を渡って北上し、この現象は「グレート・エクソダス(大出エジプト)」とも呼ばれています。
カンザス州には、ニコデマスのように黒人だけで形成された町も誕生しました。移住者たちは資金不足や厳しい自然環境といった困難に直面しながらも、自由と自立した生活を求めて一歩を踏み出したのです。
まとめ
エクソダスターという用語は、単なる移住者の呼称にとどまらず、奴隷制の遺産から逃れ、自らの手で自由と機会を追求した人々の勇気と希望を象徴しています。アメリカ史における重要な移住運動の一つとして、今日でも語り継がれています。