「先住民(ネイティブ・アメリカン)は白人入植者によって奴隷にされなかった」という見方は、歴史的事実として正しくありません。これはよくある誤解であり、実際にはアメリカ大陸の広範な地域で先住民がヨーロッパ系入植者によって奴隷化されてきました。
植民地時代、先住民の奴隷化は広く行われていた
現在のアメリカ合衆国においても、植民地時代を通じて先住民の奴隷化は広範に行われ、一部の地域では19世紀まで続きました。特に17世紀から18世紀にかけて、カロライナ地方では先住民が組織的に捕らえられ、カリブ海地域や北部植民地へ売られる一大奴隷貿易が展開されました。
スペイン領でのエンコミエンダ制
中南米では、スペイン王室が認めた「エンコミエンダ制」のもとで、先住民は鉱山や農園での過酷な強制労働を課されました。ペルーのポトシ銀山などでは、数多くの先住民が劣悪な労働条件の中で命を落としたと記録されています。
北米における先住民奴隷貿易
北米南東部では、入植者と一部の先住民部族との協力により、敵対する部族の人々が捕虜として売買されました。歴史学者の推計によれば、植民地時代に数万人規模の先住民が奴隷として取引されたと考えられています。
なぜアフリカからの奴隷貿易が主流になったのか
時間の経過とともに、先住民に代わってアフリカ出身者への依存が深まった背景には、いくつかの要因があります。
- 疫病の影響:ヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘や麻疹などの伝染病により、先住民人口が激減し、労働力として確保できる人数が大幅に減少しました。
- 逃亡の容易さ:先住民は土地や地形に精通しており、逃亡後に自民族の共同体へ戻りやすいという事情がありました。
- 法的・宗教的な枠組み:一部の植民地では、先住民の奴隷化に対して王冠や教会からの制限が次第に強まりました。
まとめ
先住民が奴隷化されなかったのではなく、実際に大規模な奴隷化が行われ、その被害は今日に至るまで先住民社会に深い影響を残しています。この歴史的事実を正しく理解することは、アメリカ大陸の植民地主義とその遺産を考える上で不可欠です。