1セント硬貨の誕生 ― 1793年から続く「ペニー」の歴史
アメリカ合衆国で一般に「ペニー」と呼ばれる1セント硬貨は、1793年に初めて鋳造されました。前年の1792年に制定された貨幣法(Coinage Act)によって同国の貨幣制度が確立されたことを受け、翌年から流通が始まったのです。
最初期の1セント硬貨は「ラージセント(大型ペニー)」と呼ばれる銅製の大型硬貨で、片面に「LIBERTY(自由)」の文字、もう片面に鋳造年が刻まれたシンプルなデザインでした。
素材とデザインの変遷
その後、1セント硬貨は時代とともに素材やデザインに大きな変化を遂げてきました。1857年には大型の銅貨が廃止され、小型の白銅(銅ニッケル合金)製硬貨へと移行します。
そして1909年、リンカーン大統領の肖像を表面に配した「リンカーン・セント」が登場しました。裏面には「ONE CENT」および「UNITED STATES OF AMERICA」の文字が刻まれ、このデザインは今日まで100年以上にわたって親しまれています。
1セント硬貨の主な変遷年表
- 1793年:初の1セント硬貨(ラージセント)を銅で鋳造
- 1856〜1858年:白銅製の「フライングイーグル・セント」製造開始
- 1859年:白銅製の「インディアンヘッド・セント」登場
- 1909年:リンカーンの肖像を採用した「リンカーン・セント」(銅製)発行
- 1943年:第二次世界大戦中の銅不足により、鋼鉄製のスチールセントを鋳造
- 1944〜1946年:戦時中の弾薬用真鍮を再利用した青銅系の硬貨に戻る
- 1947〜1982年:銅製のリンカーン・セント
- 1983年〜現在:亜鉛芯に銅メッキを施した硬貨へ移行
今も発行され続ける1セント硬貨
この年表が示すように、アメリカの1セント硬貨は200年以上にわたり、素材やデザインを変えながら発行され続けてきました。現在も新たな1セント硬貨は鋳造されており、同国の通貨体系において欠かせない存在であり続けています。
ちなみに現在のリンカーン・セントは、直径19.05mm・重さ約2.5g。表面に第16代大統領エイブラハム・リンカーンの肖像が描かれ、裏面は2010年以降、「ユニオン・シールド」と呼ばれる新しいデザインが採用されています。