「1943年のシルバーニッケルは存在しない」という情報を目にすることがありますが、実はこれは誤解です。実際には、1943年にアメリカ合衆国造幣局が発行した5セント硬貨(ニッケル)には銀が含まれています。
第二次世界大戦中、ニッケル金属は兵器生産などの軍事用途に優先されることになりました。そのため、造幣局は1942年10月から1945年までの期間、通常の銅・ニッケル合金に代えて「銅56%・銀35%・マンガン9%」という特別な配合で5セント硬貨を鋳造しました。これらの硬貨は一般に「ウォーニッケル(戦時ニッケル)」と呼ばれ、現在でもコイン収集家の間で人気があります。
1943年ニッケルの価値相場
流通品の場合
一般的な流通状態の1943年ウォーニッケルは、1枚あたり1〜3ドル程度で取引されるのが相場です。硬貨1枚に含まれる純銀量は約0.056トロイオンスのため、銀価格の変動によって地金価値(最低価格)は上下します。
未使用品の場合
傷や摩耗がほとんどない未使用品(アンサーキュレーテッド)は10ドル前後から取引され、MS65以上の高グレード品になるとさらに高い評価を受けることがあります。
レアなエラー品・バラエティ
特に注目すべきは「1943/2-P」と呼ばれるオーバーデートエラーで、1942年の刻印の上に1943が重ねて打たれた希少なバリエーションです。状態によっては100ドルを超えるプレミアムがつくこともあります。
本物の見分け方
ウォーニッケルを見分ける最も簡単な方法は、裏面のモンティチェロ邸の屋根の上にある大型のミントマーク(P・D・S)を確認することです。通常期のニッケルはミントマークが小さく建物の右側に配置されているため、一目で区別できます。
ちなみに1943年は、1セント硬貨が銅の節約のため亜鉛メッキのスチール製に変更された年としても知られています。「ペニーは鋼鉄製に、ニッケルには銀を使用」というのが、戦時下のアメリカ造幣局による素材対策だったのです。