ギリシャ神話において、美の女神アフロディーテが最初に結婚した相手は、火と鍛冶を司る神ヘパイストスでした。しかし、この結婚はアフロディーテ自身の意思によるものではなく、神々の手配によって結ばれたものであり、決して幸福な夫婦生活とはなりませんでした。
なぜ二人は結婚することになったのか
一説によると、アフロディーテのあまりの美しさゆえに、多くの神々が彼女を巡って争う事態を恐れたゼウスが、争いの種を断ち切るためにヘパイストスとの結婚を取り決めたとされています。別の伝承では、鍛冶の名手であるヘパイストスが、母ヘラへの恩義や自由を得た感謝の証として、自らアフロディーテを妻に望んだとも語られています。
愛のない結婚生活
ヘパイストスは足に障害を抱え、外見的には決して魅力的な神ではありませんでした。そのため、絶世の美女であるアフロディーテは夫に魅力を感じることができず、結婚生活は冷え切ったものになりました。やがて彼女は度重なる不貞を働き、数多くの恋人を持つようになります。
有名な不倫の相手たち
アフロディーテの愛人として最も有名なのは、戦の神アレスです。二人の情事は神話の中でも特に知られており、ヘパイストスが鍛冶師ならではの技術で作り上げた透明で頑丈な網を使い、寝所で密会していた二人を捕らえて神々の前で晒し者にした逸話は特に有名です。この他にも、伝令の神ヘルメスをはじめ、複数の神々や人間の男性たちと関係を持ったと伝えられています。
まとめ
アフロディーテとヘパイストスの結婚は、神々の思惑によって強引に結ばれた、典型的な政略結婚でした。愛のない夫婦関係こそが、後のアフロディーテの数々の恋愛譚が生まれる背景の一つとなっており、ギリシャ神話における人間味あふれる女神像を形作っています。