ケルトのラウンドハウス(円形住居)に使用された建材は、土地ごとの気候や地形、そして資材の入手しやすさによって大きく異なっていました。ここでは、当時よく使われていた代表的な4つの材料を紹介します。
1. 木材 ― 最も広く使われた基本素材
木材は、ラウンドハウスの建設において最も普及していた材料です。骨組みにはオーク(ナラ)、トネリコ、ハシバミといった丈夫な樹種が好んで用いられました。また、壁面には細い枝を編み込んだ格子に泥や粘土を塗り込める「ワトル・アンド・ドーブ(wattle and daub)」と呼ばれる工法が採用され、軽量でありながら断熱性の高い壁を実現していました。
2. 石材 ― 岩場の地域で活躍した耐久素材
岩場の多い地域では、石材が身近に入手できたため、石を主材としたラウンドハウスが建てられました。これらの石造り住居の多くは、モルタルなどの接着剤を使わず石を積み上げる「空積み(からづみ)」工法によるものです。手間はかかるものの、風雨に強く長寿命な構造となるのが特徴でした。
3. 土と粘土 ― 資材が乏しい地域の知恵
木材や石材が不足している地域では、身近にある土や粘土が建築材料として活用されました。土に藁(わら)などの有機質の繊繊維を混ぜて練り上げた混合材は「コブ(cob)」と呼ばれ、これを積み重ねて壁を作りました。コブ造りの壁は優れた保温性を持ち、夏涼しく冬暖かい住環境をもたらしました。
4. 茅(かや) ― 屋根を覆う断熱材
屋根には茅葺き(かやぶき)が広く採用されていました。藁、葦(あし)、ガマなどの植物を束ねて木製の骨組みにしっかりと結び付けることで、厚みのある断熱層を形成します。この茅葺き屋根は雨を効果的に弾き、室内の温度を安定させる重要な役割を果たしていました。
まとめ ― 決まった「型」は存在しなかった
ケルトのラウンドハウスには、統一された標準仕様はありませんでした。建築技術や使用する材料は、地域の自然環境や時代背景に応じて柔軟に変化しており、その多様性こそが、各地の暮らしの知恵を今に伝える興味深いポイントといえるでしょう。