インカ帝国の時代、人々が暮らした住居は、シンプルでありながらアンデス地方の厳しい気候に適応した実用的な造りが特徴でした。ここでは、インカの家の主な特徴を詳しく見ていきましょう。
1〜2部屋のコンパクトな間取り
インカの住宅は非常に小ぶりで、多くの場合、1〜2部屋程度の規模でした。家族が一つの空間で共同生活をするスタイルが一般的で、無駄のない機能的な設計になっていました。
石材や日干しレンガ(アドベ)の壁
壁は、現地で採れる石材、または日干しレンガ(アドベ)を積み上げて作られていました。これらの素材は入手しやすく、昼暑く夜寒い高原の気候において優れた断熱効果を発揮しました。
わらや葦で葺いた屋根
屋根はわらや葦を葺いた茅葺きスタイルが主流で、構造によっては木製の梁が組み込まれていました。急勾配につくられた屋根は、雨季の激しい雨から室内を守る重要な役割を果たしていました。
踏み固めた土の床
床には特別な建材は使われず、土を踏み固めたものがそのまま使用されていました。長年の生活の中で自然と硬く締まり、耐久性のある床面へと変わっていきました。
小さな祭壇と火をおこす中央部
室内には小さな壁龕(へきがん)や祭壇が設けられることが多く、宗教的な儀式や祖先への信仰と深く結びついた暮らしがうかがえます。また、部屋の中央には火をおこすための場所があり、調理や暖房の中心となっていました。
少ない窓と低いアーチ型の入り口
窓は小さく、その数もごくわずかでした。これは外気温の影響を抑え、室内温度を安定させるためと考えられます。入り口も低くアーチ状になっているのが典型的で、出入りの際には身をかがめる必要がありました。
このように、インカの住居は限られた資材を最大限に活用し、過酷な自然環境の中で快適に暮らす知恵が詰まった建築だったのです。