トルコ中部に位置する新石器時代の遺跡チャタルヒュユク(Çatalhöyük)は、人類が築いた最も古い定住集落の一つとして知られています。約9,000年前に栄えたこの巨大な町では、独特な構造を持つ住居が数多く建てられていました。ここでは、チャタルヒュユクの家々の特徴を詳しく見ていきましょう。
日干しレンガで造られた長方形の住居
チャタルヒュユクの家は、泥(日干し)レンガを積み上げて造られた、長方形の平面を持つ建物でした。レンガは日差しで乾燥させただけのシンプルな建材ですが、当時の気候条件下では十分な強度を発揮し、何世代にもわたって住み継がれる頑丈な住居となりました。
出入り口は屋根の上にあった
この集落の住居で最も特徴的なのが、平らな屋根と屋根の穴からなる出入口です。家には地面に通じるドアや窓がなく、人々ははしごを使って屋根の開口部から出入りしていました。この構造は、外敵からの防御だけでなく、断熱性の向上にも役立ったと考えられています。
壁を共有する密集した街並み
家々は隙間なく密接に隣り合って建てられ、互いに壁を共有していました。通りのような空間はほとんど存在せず、日常の移動や社交は主に屋根の上で行われていたとみられています。まさに「屋根が道」だったのです。
漆喰の床と美しい壁画・彫刻
室内の床や壁は漆喰(プラスター)で丁寧に仕上げられ、多くの家では幾何学模様や動物などを描いた壁画や浮き彫りの装飾が施されていました。これらの装飾は、当時の人々の芸術性や宗教観を今に伝える貴重な資料となっています。
窓のない部屋と屋根からの採光
住居には窓が一切なく、室内に入り込む光は屋根の開口部から差し込む自然光だけでした。そのため室内は比較的暗く、暖炉やオーブンからの煙も同じ開口部から排出されていました。
生活の場であり貯蔵庫でもあった
家の中には食料や日用品を保管するための大型の壺や収納スペースが備えられており、住居は単なる寝起きの場ではなく、生活・作業・貯蔵を兼ねた多目的な空間として使われていました。
社会と経済の中心としての住居
チャタルヒュユクにおける家は、町の社会生活と経済活動の中核を担っていました。人々はここで暮らし、働き、物資を蓄え、家族や近隣の人々と集まって交流する場としても活用していました。一軒一軒の住居が、この古代都市のコミュニティそのものだったと言えるでしょう。