フェレックスとは誰か
フェレックス(Ferrex)は、イギリスのケルト神話、より正確にはブリテン列王伝説に登場する伝説上のブリテン王です。彼は伝説的なブリテン王ゴルボドゥク(Gorboduc)の息子であり、弟ポレックス(Porrex)の兄として知られています。この物語は、中世のブリテン列王史に基づく伝承の一つとして語り継がれてきました。
兄弟の争いと悲劇的な最期
伝説によれば、年老いたゴルボドゥク王の後継者をめぐって、フェレックスとポレックスの兄弟は王位を巡って激しく対立することになりました。この争いの中で、フェレックスは弟のポレックスによって殺されてしまいます。しかし、悲劇はそこで終わりませんでした。息子を殺された母后ジュードンは激怒し、今度はポレックスを殺害したと伝えられています。
こうして兄弟はそろって命を落とし、後継者を失ったブリテン王国は混乱と内乱の時代へと突入していくのです。権力への執着が家族そのものを滅ぼすという、教訓色の強い物語として知られています。
戯曲『ゴルボドゥク』で知られるフェレックス
フェレックスが今日最も広く知られているのは、トマス・サックヴィル(Thomas Sackville)とトマス・ノートン(Thomas Norton)によって書かれた戯曲『ゴルボドゥク』(Gorboduc)によるところが大きいです。この戯曲は16世紀に初演され、英語で書かれた最初期の本格的な悲劇、そして無韻詩(blank verse)を用いた最初の英語戯曲とされています。
『ゴルボドゥク』は別名『フェレックスとポレックス』とも呼ばれ、兄弟の争いと王国の崩壊を描いたこの物語は、後のシェイクスピアに代表されるエリザベス朝演劇の発展にも影響を与えたと考えられています。
まとめ
フェレックスは、ブリテン伝説に登場する悲劇的な王位継承者の一人です。父ゴルボドゥク、弟ポレックス、母ジュードンとともに、権力をめぐる争いが一家を滅ぼすという物語の中心人物として、イギリスの神話伝承と文学史の両方において特別な位置を占めています。