アイルランドにおけるフィドルの起源については、はっきりとしたことは分かっていませんが、いくつかの有力な説が存在します。
説1:16世紀にスペイン人船員がもたらした
一つ目の説は、16世紀にスペイン人の船員たちによってフィドルがアイルランドに持ち込まれたというものです。フィドルはヴァイオリン属の楽器であり、ヴァイオリン自体は16世紀のイタリアで発展しました。スペインの船員たちがヴァイオリンをアイルランドへ運び、それを現地の音楽家たちが取り入れた可能性があると考えられています。
説2:アイルランド発祥で、中世の楽器「クルース」から進化した
もう一つの説は、フィドルがアイルランド発祥であり、中世にこの地で人気を博していた擦弦リラ「クルース(crwth)」から発展したというものです。クルースは6弦の楽器で、弦をかき鳴らしたり弓で弾いたりして演奏されていました。一方、フィドルは4弦で、弓を使って演奏します。演奏方法がよりシンプルな分だけ扱いやすかったため、フィドルがクルースから進化した可能性もあるとされています。
現代のアイリッシュ音楽におけるフィドルの役割
起源がどうであれ、フィドルは今やアイルランドの伝統音楽に欠かせない存在となっています。フォーク、トラディショナル、クラシックなど、幅広いジャンルで演奏されており、ギター、バンジョー、ボーラン(ボドラン)といった他の楽器と共演することも少なくありません。軽快なリズムと情感豊かな音色で、アイリッシュ音楽の魅力を支える中心的な楽器といえるでしょう。