1816年、北米やヨーロッパでは真夏に雪が降り、農作物が壊滅的な打撃を受ける異常気象が発生しました。この年は「夏のない年(Year Without a Summer)」と呼ばれています。その原因となったのは、前年1815年4月にインドネシア・スンバワ島で起きたタンボラ山の大噴火でした。
タンボラ山の大噴火
1815年4月に始まったタンボラ山の噴火は、過去数百年で最大級の規模とされ、噴火の激しさを示すVEI(火山爆発指数)は7に達しました。噴火によって大量の火山灰や二酸化硫黄ガスが成層圏まで吹き上げられ、それらは地球全体を覆うように拡散していきました。
太陽光を遮る火山灰とエアロゾル
成層圏に達した微細な粒子(エアロゾル)は、太陽からの日射を反射・散乱させ、地表に届く熱量を大幅に減少させました。その結果、全球の平均気温は約0.4〜0.7℃低下したと推定されています。一見わずかな温度差ですが、気候システムには深刻な影響を及ぼしました。
世界各地への影響
1816年の北米北東部では6月に降雪が観測され、7月や8月にも霜が降りるなど異常な低温が続きました。ヨーロッパでは冷害と長雨により小麦やジャガイモの収穫が激減し、飢饉や食料暴動が各地で発生しました。中国やインドなどアジア地域でも農業被害が報告されています。
文化にも残った影響
悪天候のため屋内で過ごす時間が増えたことは、文学史にも影響を与えました。スイスの別荘に滞在していたメアリー・シェリーが、閉じ込められた雨の日々の中で小説『フランケンシュタイン』の着想を得たという逸話は特に有名です。
まとめ
1816年の「夏のない年」は、タンボラ山の噴火で大気中に放出された火山灰とエアロゾルが太陽光を遮り、地球規模で気温を下げたことが原因でした。単一の火山噴火が世界の気候と人々の生活にここまで大きな影響を与えた事例として、今なお語り継がれています。