タイムシェアリング(時分割処理)は、1台のコンピュータを複数のユーザーが同時に利用できるようにする技術です。しかし、この仕組みが本格的に普及したのは、第3世代コンピュータからでした。なぜ第2世代では実現しなかったのでしょうか。
第2世代コンピュータの限界
第2世代コンピュータ(1950年代後半〜1960年代前半)は、トランジスタの実用化によって真空管時代と比べ大幅に小型化・高速化されました。とはいえ、処理能力や主記憶容量には依然として大きな制約がありました。
当時の主流だったのは「バッチ処理」です。複数のプログラムをまとめて順番に実行する方式で、CPUの idle 時間(遊休時間)を減らす工夫はされていたものの、複数ユーザーの要求にリアルタイムで応えることは困難でした。また、高価なハードウェアを1人で占有して使うのが一般的であり、タイムシェアリングのような高度な資源共有のニーズも仕組みも十分には成熟していませんでした。
第3世代で実現した背景
転機となったのは、電子回路の小型化と集積回路(IC)、いわゆる「チップ」の採用です。第3世代コンピュータでは以下のような進展が起こりました。
- 処理速度の飛躍的な向上: 短時間で多くのタスクを切り替えて処理でき、各ユーザーは自分だけがコンピュータを使っているかのような感覚を得られるようになりました。
- 信頼性とコストの改善: ICの採用により故障率が下がり、価格も相対的に低下したため、1台を多数のユーザーで共有する運用が経済的にも成立するようになりました。
- メモリ容量の拡大: 複数のプログラムを同時に主記憶上に保持できるようになり、マルチプログラミングとタイムシェアリングを支える基盤が整いました。
まとめ
つまり、タイムシェアリングの普及は単なるソフトウェア技術の発明だけでなく、集積回路によるハードウェアの小型化・高性能化・低価格化という第3世代ならではの進化によって初めて可能になったのです。技術の進歩が利用形態そのものを変えた好例といえるでしょう。