「先史時代」という言葉を耳にしたことはあっても、その始まりがどこからなのか、正確に答えられる人は意外と少ないかもしれません。実は先史時代の起点は、世界共通の特定の日付で定められているわけではなく、研究対象となる地域ごとに異なるのが大きな特徴です。
先史時代とは何か?
先史時代とは、一般的にある地域における人類(ホミニッド)の最古の痕跡が確認できる時期から、その土地の文化において文字による記録が登場する時点までを指します。つまり、「文字が発明され、歴史の記録が書き残されるようになる前の時代」が先史時代ということです。
なぜ地域によって始まりが違うのか
文字の発明や記録文化の誕生は、世界中で同時に起こったわけではありません。例えば、メソポタミアでは紀元前3400年頃に楔形文字が、エジプトではほぼ同時期にヒエログリフが登場したとされます。一方、日本では文字記録が本格的に残り始めたのは、はるかに後のことです。
このため、同じ地球の歴史でも、どの地域を語るかによって先史時代の終わり(=歴史時代の始まり)の時期が大きくずれるのです。先史時代の長さも地域ごとに異なり、文字を持たなかった文化ほど先史時代が長く続いたことになります。
人類の痕跡から始まる長い時間
先史時代のスタート地点となるのは、ホミニッド(人類の祖先にあたる種)の存在を示す最古の証拠です。石器、骨、足跡、火の使用痕といった考古学的な資料が、文字のない時代の人類の営みを今に伝えています。これらの証拠をもとに、考古学者たちは旧石器時代・新石器時代などの区分を行い、先史時代を細かく分析しています。
まとめ
先史時代の始まりは、単一の基準で決まるものではなく、各地域における人類の最古の痕跡と、文字記録の出現という二つのポイントによって定義されます。「歴史」が文字とともに始まるなら、それ以前の壮大な人類の歩みこそが先史時代なのです。