結論:古代に酸素は「使われていなかった」
酸素が一つの元素として認識され、発見されたのは18世紀後半のことです。つまり、それ以前の古代において、人々が意識的に酸素を何かに「利用する」ということはありませんでした。
もちろん、呼吸や燃焼といった酸素が関わる現象自体は太古から自然に起こっていましたが、その正体が酸素であるとは誰も知らなかったのです。
古代の人々の「空気」に対する考え方
古代ギリシャでは、世界は「土・水・火・空気」という四大元素から成り立っていると考えられていました。この考え方の中で、空気は単一の物質であり、それ以上分解できない基本的な要素だとされていました。
したがって、空気の中に酸素のような特定の気体が含まれているという発想自体がなかったのです。火が燃えるのも、人が息をするのも、すべて「空気」という一つの元素の働きだと説明されていました。
酸素が発見されたのはいつ?
酸素の発見は、1770年代にさかのぼります。
- カール・ヴィルヘルム・シェーレ(スウェーデン):1771年〜72年頃に最初に酸素を単離したとされますが、発表が遅れました。
- ジョゼフ・プリーストリー(イギリス):1774年に酸素を独立して発見し、「脱フロギストン空気」と呼びました。
その後、フランスの化学者アントワーヌ・ラヴォアジエが、燃焼とは物質が酸素と結びつく現象であることを実証し、この気体に「酸素(oxygène)」という名前を与えました。これにより、酸素は初めて科学的な元素として確立されたのです。
まとめ
古代の人々は呼吸をし、火を使い、酸素の恩恵を受けながら生活していましたが、酸素という物質の存在そのものを知りませんでした。「酸素を使う」という概念が成立したのは、18世紀後半に元素として発見されてからのことです。身近な空気の中にも、人類が長い間気づかなかった秘密が隠されていたというのは、科学史の面白さの一つといえるでしょう。