古代の歴史

ラジャスタン州カリバンガン遺跡が示す先史時代・マウリヤ以前のインダス文明の特徴とは?

カリバンガンとは

カリバンガン(Kalibangan)は、インド・ラジャスタン州ハヌマンガル県に位置する古代都市の遺跡です。インダス文明(IVC)における最も重要な遺跡の一つであり、保存状態の良い遺構や出土品で知られています。「カリバンガン」という名称は、現地語で「黒」を意味する「カリー(kali)」と「町」を意味する「バンガン(bangan)」に由来し、遺跡周辺の土壌が黒っぽい色をしていることにちなんでいます。

発掘の歴史

カリバンガンは1961年、B・B・ラール(B. B. Lal)率いる考古学者チームによって初めて発見されました。その後、大規模な発掘調査が行われ、紀元前2900年頃から紀元前1900年頃にかけて栄えた都市の姿が明らかになりました。都市は二つの区域に分かれており、要塞化された「シタデル(城塞部)」と、一般市民が暮らす「下町」から構成されていました。

都市の構造:シタデルと下町

シタデルは高い丘の上に位置し、巨大な日干しレンガの壁に囲まれていました。内部には支配者の宮殿、穀物倉庫、大型の貯水槽、複数の工房といった重要な建造物がありました。一方、下町はシタデルを取り囲むように広がり、人々の生活の場でした。住居、街路、井戸などが整然と配置されていたことが発掘調査からわかっています。

最大の発見:「火の祭壇」

カリバンガンにおける最も重要な発見の一つが、火の祭壇をはじめとする儀式用の構造物です。これらの遺構は、この都市が重要な宗教的中心地であったことを示唆しています。カリバンガンは火神アグニ(Agni)信仰の主要な拠点であったと考えられており、インダス文明の宗教実践を理解する上で極めて貴重な資料となっています。その他にも、土器、装飾品、テラコッタ像、石・銅・青銅製の道具類など、多くの遺物が出土しています。

都市の衰退と放棄

カリバンガンは紀元前1900年頃に衰退しました。都市崩壊の正確な原因は完全には解明されていませんが、気候変動や河川の流路変更が深く関係していたと考えられています。やがて都市は放棄され、何世紀にもわたって土の中に埋もれていましたが、20世紀になって再びその姿を現しました。

カリバンガンの歴史的意義

カリバンガンは、インダス文明の先史的・マウリヤ以前の性格を知るうえで貴重な手がかりを与えてくれる、非常に価値のある遺跡です。保存状態の良い遺構や出土品は、この古代文明における人々の日常生活、宗教的実践、そして技術水準を解き明かすのに大きく貢献しており、インダス文明研究において欠かせない存在となっています。